梅雨のビデオまつり「世界にひとつのプレイブック」「アンデッド/ブラインド」

「真夏のビデオまつり」から「梅雨のビデオまつり」に戻っちゃったよ。来週も晴れの日は少なそうだから最後の週が梅雨明けじゃないのか。

世界にひとつのプレイブック
【1,200円】あらすじを読んだら主人公が面倒くさい女性と付き合う話、みたいだったのに主人公はもっと面倒くさかったよ。暴行事件を起こして強制入院させられていた主人公を、母親が裁判所にかけあって無理矢理に退院させる。だが家に帰る車の中で、退院は早かったと母親は知ることになる。同じ境遇の女性と知り合い、二人でダンスコンテストに出るのがクライマックスになっている。しかし、面倒くさい女性を演じさせたらジェニファー・ローレンスの右に出る人はいないな。面倒くさい人が普通の人と言い争いをしていると普通の人がかわいそうで胸が痛くなるが、面倒くさい二人が喧嘩をしているとそういう感情が起こらないのが不思議だ。でもポスターに書いてある「アカデミー賞8部門ノミネート」、そこまでの作品ではないよ。

4×4 殺人四駆(字幕版)

4×4 殺人四駆(字幕版)

  • ピーター・ランサーニ
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4×4 殺人四駆
【800円】アルゼンチンの映画。悪霊に取り憑かれた自動車がバッタバッタと人をはねる映画かと思ったらぜんぜん違った。車上荒らしの主人公が犯行を終えて出ようとするとドアが開かない。ガラスを破って出ようとするが強化ガラスになっていて蹴っても拳銃で撃っても割れない。床も後部座席の後ろも鉄板で補強されていて脱出不可能。ぜんぶのガラスがスモークになっていて外からは見えないので助けが呼べない。車の持ち主から電話がかかってきて、この車は国の犯罪の多さに憤る男が仕掛けた罠だった。水も食べ物もない車内で何日も閉じ込められることになる...着想は面白いのだが90分の映画にするのは無理があった。30分でまとめてオムニバスの一つなら佳作だったかも。

ふたたび swing me again
【1,200円】2010年の映画。ジャズのサークルに入っている大学生の主人公(鈴木亮平)の祖父がハンセン病療養所から帰ってくる。息子たちの迷惑にならぬよう本人は帰りたくなかったが、じつは心臓が悪くもう長くない。それがわかった施設側の配慮で帰宅をさせた。だが数日後に家出をしてしまう。探しに行った主人公は、祖父が昔のジャズ仲間に会いに行きたいのを知る。そして二人の旅が始まった...いろいろ重いテーマが入っているのだがそれが解決する過程を描かずにハッピーエンドで締めてしまうので浅い映画になってしまっているのが残念。祖父は財津一郎。協賛はもちろんタケモトピアノ

アンデッド/ブラインド 不死身の少女と盲目の少年
【1,500円】オーストリアの映画。サブタイトルの「不死身の少女」の不死身はスーパーマンの不死身ではなく、アンデッド、つまりゾンビの方か。めったにハッピーエンドにならないヨーロッパの映画、覚悟をして見ていたらハッピーエンドだった。そもそも主人公は何者なのか。途中途中でフラッシュバックで入る回想シーンによると、継父によって日常的に性的虐待を受けていた主人公。ある日、父親の首に噛みつき反撃をするが、たちまち返り討ちにあって生き埋めにされてしまう。そこからゾンビとして蘇ったみたい。そのあたりに疑問を持ってしまうとこの映画は楽しめない。主人公はゾンビだし、どう考えてもハッピーエンドは無理でしょうと思うんだがハッピーエンドなんだよ。じゃあ、この子は何者だったんだよって。ゾンビって可逆性なの?

輪廻
【1,500円】「呪怨」の清水崇監督で2005年の作品。「呪怨」ほど怖くないけどちゃんと筋がある。30年前にあるホテルで起こった11人虐殺事件の映画が作られることになった。オーディションで主演に選ばれたのが優香が演じる主人公。その日から人形を抱いた少女が現われたり変な夢を見たり主人公の日常が歪んでいく。もうタイトルでわかるのでネタバレではないと思うけど、この被害者の一人が輪廻転生したのが主人公なわけだ。優香の物語と並行して、香里奈演じる女子大生にも奇妙なことが起こるようになる。優香ルートと香里奈ルートはどうつながっているのか、それがクライマックスで明らかになり、ここのサプライズは見事。してやられたという感じ。なのにクライマックスを盛り上げようとしすぎて逆に失敗してると思う。