年末ビデオまつり「蜘蛛の巣を払う女」「岬の兄妹」

今年最後かなあ。

【1,700円】 「ドラゴン・タトゥーの女」のシリーズなんだね。舞台はスウェーデン、主人公は天才ハッカー。女性を苦しめている悪い男の銀行口座の金を被害者の女性に振り込んだり義賊的な存在。依頼でNSAアメリカ国家安全保障局)からあるプログラムを盗む仕事をする。それは世界を核戦争の危機に陥れる危険なものだった。それを狙う組織にPCを奪われ、NSAスウェーデン警察からも追われることになる。この悪の組織がとんでもなく悪い、そして強い。対する主人公は徒手空拳だが、唯一の武器のハッキング技術で組織に迫る...この力のバランスがすごくいい。知力でPCを奪い返すとすぐに武力で逆転されてしまう。冬のスウェーデンの街並みもきれいなのだが、この映画の唯一の問題点は主人公が美人ではない。なんか武井壮に似ているが、なぜこの人にした?

岬の兄妹

岬の兄妹

  • 松浦祐也
Amazon

【1,900円】 足を怪我して駅まで45分かけて(健康時は12分)歩いていたとき、いつもラジオを聞いていた。RHYMESTER宇多丸さんが映画を紹介するコーナーでこの映画がお勧めだった。ボロ家に住んでいる兄と妹。兄は脚に障害があり、妹は知的障害がある。兄は勤めていた工場を解雇され生活が困窮する。妹が家を抜け出し夜になっても戻ってこない。翌朝に戻ってきた妹は1万円を持っており、下着が汚れている。電気を止められ貸家からも追い出されそうになり、困った兄は妹に売春をさせて生活をつなぐことにする...とにかくドン底、どうしようもない。兄は妹に愛情が無いわけではないがティッシュに広告を入れる内職だけでは生きていけない。かといってこんなことを続けていると性病にもなるし妊娠もする。ハッピーエンドなんか来るわけない。なぜ市役所に相談に行かない?と思うのだがその知識も、アドバイスしてくれる人もいないんだよね。それでも最後まで見入ってしまう良作。

【1,500円】 Amazonのレビューに「キアヌ・リーブスの無駄遣い」と酷評されている映画。それでもアナ・デ・アルマスが好きな私は1,500円。この映画、キアヌ・リーブスはただの狂言回しなのだ。実際にエンドロールではアナ・デ・アルマスのが先に出てくる。だが観客が「この事件をキアヌ・リーブスが解決するはずだ」、「キアヌ・リーブスが最後に大活躍するはずだ」と観客に思わせることこそ、この物語のメイントリックになっていると言って良い。つまり手品師がテーブルの上に出している右手がキアヌ・リーブス、テーブルの下に隠している左手がアナ・デ・アルマス。その点で、この映画の刑事の役はキアヌ・リーブスクラスの大物でないとダメなわけだ。ただ、最後に明かされる真相、この手を使ったらなんでもありになってしまうので、もっと伏線が欲しかった。

【1,200円】 有名なイタリア映画とは無関係。あれのリメイクでさえない。俎渡海(ソドム)家の市郎(通称 イチ)が無茶をする話。高校の映画同好会に100万円を渡したらこういう映画を作るのではないだろうか。2005年の作品だがCGはいっさい無い。新幹線や爆撃機が出てくるけどCGなし、すべて模型。ストーリーもビジュアルも目茶苦茶、役者の演技も下手。それでも面白い映画を作るぞという熱意は感じられる。まあ、それが空回りしているわけだが。変な映画を見たい人はどうぞ