冬のビデオまつり「きみへの距離、1万キロ」「とっととくたばれ」

またまたマイナーな映画を5本。

【1,500円】 ある町でのハロウィンの一夜を舞台にした、小説で言えば連作短編集。この映画のユニークなところは、それぞれの話ごとに時間が遡ること。時間が後ろに行くなら、登場人物全員の顔見せを第一話で行なわなければならないが(第一話の登場人物は死んじゃうので以降の話には出られない)後ろの話になったら顔を覚えていない。その点、時間が遡れば前の話の人物が町を歩いていても問題ないわけだ。それぞれの話にオチが付いていてなかなかの良作

【1,500円】 カナダの画家、モード・ルイスの物語。貧しい家に生まれ幼い頃から重度のリウマチで体が不自由な主人公。彼女の楽しみは絵を描くことだった。魚の行商をやっている貧しい男と結婚し4m四方の小さい家で暮らし始める。絵を習ったこともなく、道具さえ持ってない主人公はペンキで家の壁や家具に絵を描く。夫が客に渡す領収書の裏に書いた絵が一人の客の目にとまり、もっと大きな絵を描いてくれたら買うと申し出を受ける。それが口コミで広がり、家の前に絵を並べて売ることにする...晩年は有名になったらしいが、夫や親がクズすぎる。幼稚園の子どもが書いたような絵なんだが、そういう絵を大人が描けるところが彼女の才能

【1,500円】 北アフリカにある油田を、アメリカから監視する仕事の主人公。6本足のクモみたいなロボットを使い、交代で昼夜の監視をしている。このロボット、主人公の声をアラビア語に翻訳して発声することもできるし、油田を守るために銃撃をすることもできる。主人公はある日みかけた少女に一目惚れしてしまう。彼女には恋人がいるが、親の命令で自分の父親くらいの年令の男性と結婚しなければならない。恋人と駆け落ちすることを決めた彼女だったが彼は事故で死んでしまう。そこで彼に代わって彼女を外国に逃がすことを決めた主人公。だができることはロボットの操作だけ...設定は面白いのだが、彼女を助けるところや、主人公と彼女の恋愛要素などもっと盛り上げることはできただろうに薄味のまま最後まで行くのが残念

【1,700円】 もうメチャメチャだよ。ニコラス・ケイジは仕事を選ばないと全米に向けて宣言でもしているのか。先日、見た園子温監督の映画。なぜこの作品ほどはっちゃけなかったのか? これこそ園子温が撮らなければならない作品だったろうに。もう設定もストーリーも無茶苦茶、主人公がタフすぎる、いや不死身すぎる。だがここまでやれば気持ちがいい、清々しい

とっととくたばれ(字幕版)

とっととくたばれ(字幕版)

  • ヴィタリー・カエフ
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【1,700円】 ロシアにも園子温みたいな監督がいたよ。今回の拾いものがこれ。彼女に頼まれて父親を殺しに来る主人公。これだけで無理がありすぎだが、この父親は悪徳刑事。反撃されて簡単に捕まってしまい、「誰に頼まれた?」とドリルで足を掘られる。主人公に勝ち目は無いのだが、ここまででまだ30分。ここから物語はどんどんツイストし、父親の秘密、応援に来た父親の友人の秘密、娘の秘密が明らかになるごとの物語の様相が一変する。タイトルは主人公が父親に向けた悲鳴だが、最後まで見ると観客が主人公に同じことを言いたくなる。主人公は不死身か?