残暑のビデオまつり「メランコリック」「鈴木家の嘘」

4連休だったので増量セールだ。

 【500円】100円セール。昔、49人が惨殺された湿地帯でドキュメンタリー映画を撮影するクルー、そこに本物が現われるという「13日の金曜日」パターン。これってコメディだよね。なのに殺され方がいちいちグロい。最後まで生き残るのはこの2人かよ、と人選に問題があるので500円。

キューブ (Cube)

キューブ (Cube)

  • メディア: Prime Video
 
キューブ 2 (Cube 2: Hypercube)

キューブ 2 (Cube 2: Hypercube)

  • メディア: Prime Video
 

 【1,200円】たしか、以前にビデオかテレビで見たような気がする。でもラストシーンしか思い出せないので見てみた。目が覚めると立方体の部屋にいる人たち。各面に一つずつ、合計6個の扉から隣に行けるが罠が仕掛けられている部屋がある。安全な部屋を探して脱出するのが「1」で、どの部屋も最初は安全だが突然に罠が出現するのが「2」。この罠を金さえかければ作れそうなのが「1」で、現在の科学では作れないのが「2」。1で数学的に部屋の謎を解いて脱出への道筋を作った女の子、なぜこの子を殺す?

ライアー・ハウス(吹替版)

ライアー・ハウス(吹替版)

  • メディア: Prime Video
 

 【1,200円】クズの夫が銀行強盗をしてその金を家のどこかに隠したらしい。問い詰める女房とその友人。だがうっかり夫を殺してしまう。金はどこにあるのか、夫の死体をどうするか、そこに強盗の犯人を捜している保安官が来たり、夫の浮気調査を依頼した探偵が来たり...登場人物は妻とその友人、すぐに殺される夫、保安官、探偵の5人。全編の9割以上は家の中での会話。それだけで最後まで引っ張るのは見事だが映画で見る必要はあるのかと。

 【100円】久々に引き当てたクソ映画。マッドマックスみたいな世界で主人公の少女を追う悪い集団。まずはこの世界の説明や、この少女が何者かの説明はいっさい無し。最後は敵の本拠地に乗り込みバトルになるが、これがひどい。酔っ払いどうしの格闘や兄弟喧嘩みたいなバトルを延々30分見せられる。アクション監督がいないのか? さらに尺が余っちゃって無理矢理バトルを引き延ばしているような。序盤で少女が水浴びをしているところに敵が現われ見えそうで見えない格闘シーンだけが良かったので100円。

コード211(吹替版)

コード211(吹替版)

  • 発売日: 2019/07/03
  • メディア: Prime Video
 

 【1,600円】警官のニコラス・ケイジ、娘の旦那とパトロールをしているとコード211(強盗事件発生)で現場に向かう。そのそばで銀行強盗が進行中。犯人は元特殊部隊のテロリスト。5分で金を奪い入口に待たせてある車で逃走するはずだったが、この車が違法駐車だと近づく主人公。ここから4人の重装備のテロリストと警察官たちの戦いが始まる...物語の深みはまったくないが、最後まで楽しめる。SWATが登場すると一警察官である主人公の出番はないが、最後に見せ場が用意されている。しかし、この映画は実話が元になっているらしい。どんだけ危険な国だよ、アメリカ。

鈴木家の嘘

鈴木家の嘘

  • 発売日: 2019/08/07
  • メディア: Prime Video
 

 【1,500円】引きこもりの長男が自殺をする。夕方に帰宅した妹がぶら下がった兄と、床に倒れている母を発見する。母は手首を切っていて意識不明で1か月の昏睡状態。意識が戻ると3、4日前からの記憶を失っている。母にショックを与えないように兄はいまアルゼンチンで働いていると嘘をつく妹、それに合わせる父と叔父...家族が死ぬと、落ち着いてからあらためて悲しみがやってくることはあるにせよ、時間とともにフェードアウトしていく。ところが兄が生きていることになっているので父も妹も兄を失った事実とずっと向き合わなければならない。これはつらい。さらに母に真実を告げたとき、兄の死を母と一緒にもう一度、同じ強度で体験しなければならない。さらにつらい。

メランコリック

メランコリック

  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: Prime Video
 

 【1,900円】なんだよ、この傑作。映画館で予告編は見たので存在は知っていたがまさかこんな映画だったなんて。制作費300万円、出演した俳優は全員が無名、製作期間10日間、しかも平日は仕事が忙しいので土日に徹夜で撮影。このノリは「カメラを止めるな」と似ているが、あちらはアイデアだけが勝負の作品だったので同じスタッフの新作は必ずしも良作では無い。こっちはストーリーの展開と緩急の付け方、カメラワーク、BGM、どれもノーマルな映画。役者もけっして上手とは言えないが、このキャラを演じるにあたってここだけは外してはならないというポイントを的確に押さえている。これは演出の力。東大を卒業しているのに定職につかずフリーターを続けている主人公。当然、父母と実家住まい。あるきっかけで銭湯で働くことになった。ところがその銭湯には夜の顔があって、死体の始末や拉致した人の殺害を風呂場で行なっていた。口止め料を含めて割が良い仕事なので喜んで参加する主人公だが、それは向こう側の世界に足を踏み入れること、そこからは自分の意思では抜け出せないことに気がついたときは遅かった...とにかく物語のツイストぶりが見事。最後は活劇になるとは思わなかった。そもそも東大を出てフリーターをしている息子になにも言わない両親なので、ラストで拳銃で撃たれた相棒を実家に運び込み「母さん、ただいま! ちょっと助けてえ!」と言われて何の疑問も持たずに手当をする母親。思ったより傷が浅くて一緒に夕飯を食べるとき「お風呂屋さんの仕事もけっこう危ないんですねえ」と言う父親。こういう両親だからああいう息子になるんだな。この映画、このまま埋もれていくのが本当に惜しい。ヒロインは川栄李奈の下位互換みたいな人だが、ラストの方では可愛く思えてきた。