2月に読んだ本

安座間美優が出演していた「リカ」と同じ作者のサイコミステリー。

マーダーハウス

マーダーハウス

  • 作者:五十嵐 貴久
  • 発売日: 2019/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 タイトルからして入居者が一人ずつ殺されるか、殺されたとはわからずに失踪するんだろうなと予想して読むと、半分まではシェアハウスの日常。シェアハウスって独身寮みたいでプライベートが無いんだろうな思ったら、そうならないように住民が気をつけて暮らすのがシェアハウスらしい。最後で明らかになる意外な犯人。ただ意外な犯人ほど動機に納得ができない。それを「サイコ」だからと片付けたら何でもアリになってしまうと思うのだが。

愛なき世界 (単行本)

愛なき世界 (単行本)

 

 すごい厚い本だけどサクサク読める。洋食屋の見習いコックの主人公。よく行く配達先がT大学。このT大学にはY講堂があると書いてあるから東大だな。彼は生物学研究室で植物の細胞を研究している地味な女性に惚れる。この恋の行方の話かと思ったら、5cmくらいある本の1cmも行かないくらいのところで告白して秒殺。え、恋の話じゃないの? 残り1cmあたりで主人公は再度、申し込むがまた秒殺。最後まで二人の仲は縮まらない。では何の話かというと、この女性の植物愛、というか細胞愛。実験と観察の日々が延々と語られる。このテーマでこんな長い話を書いて、それがちっとも退屈でない。ものすごい筆力としか言いようが無い。

クズより怖いものはない

クズより怖いものはない

  • 作者:カレー沢 薫
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 テーマとアイデアは良いのだよ。切り口も悪くない。いるいる、そんな奴がまわりに。ただ同じテーマでもっと面白い本を作れる人はほかにたくさんいるように思う。ちょっと残念。

最後の一文

最後の一文

 

 有名な短編小説の最後の一文、そして最初の一文を題材にした文学案内。これは新しい切り口。そしてその小説がどういう経緯をたどって最後の一文に着地するか、そこに込めた作者の思い、その作品の社会的な価値を述べる。高校生にお勧めの一冊だ。

 私の今年度のノンフィクション大賞はこれで決まり。って、まだ10ヶ月あるけど。一見、粗暴に見えるトランプだが、この人はなにをめざしてなにと戦っているのか? そこがわかると実に首尾一貫していて、少しもぶれてない。どこかの国が日本のことを朝日新聞だけから知ろうとしたら実態と違う日本のイメージを持つでしょ。同じことが日本でのトランプ観、現代のアメリカ観で起きていると。お勧めの一冊。ただしマイナーな出版社なのでAmazon以外では手に入らない。