仙台ビデオまつり「孤狼の血」

牛タンを食ってホテルには8時前に戻った。じゃあ、ビデオでも見るかとカードを買ったのに邦画も洋画もろくなのが無いよ。じゃあ、これでも見るか。

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そう、これ1本で元が取れた。なに、これ傑作じゃん。一時期、松竹系の映画館に行くと公開のかなり前から予告編をやっていて何度も見たよ。予告編だと対立する暴力団の抗争と、それにからむ悪徳刑事の話みたい。私もそうだが、予告編を見ると「これは自分の興味の対象外だ」と思ってしまう。表層的にはそういう映画なのだが、この作品のすごいのがその裏側に何層もの物語があって、それがラスト近くでタマネギをむくように後から後から現れてくる。また、これを映画館やAmazonビデオで見ると残り時間から「まだなにかあるな」と思ってしまうが、ホテルのビデオだとそれがわからないのでよけいにびっくりする。なにしろ本筋と関係ないと思ってた人にも役割があって最後まで見終わると無意味な登場人物がいない。この映画の良さは柚月裕子の原作の良さなんだけど、最後まで疾走感を失わない脚本や演出も見事。ヤクザ映画に興味のない人でも十分に楽しめる。ピエール瀧が出演しているのだけど、彼が出ているからとこの作品が語られなくなるのなら、あまりにももったいない。