5月に読んだ本

怪談グランプリ 2018 地獄変

関西テレビで『稲川淳二の怪談グランプリ』という番組があって、それの出場者による短編集みたいだ。まさに玉石混交、話すのと書くのは別の才能なんだろう。

 

面白くならない企画はひとつもない 高崎卓馬のクリエイティブ・クリニック (宣伝会議養成講座シリーズ)

広告代理店のベテランクリエイターが伸び悩んでいる若手のトレーニングをするという体裁の本。お題を出して若手が絵コンテを作る。それの批評やどこを直せばよいかの指南。私のような素人でもなるほどと思う内容で面白い。著者が「セツメイ病」と呼んでいるが、商品の説明に終始してしまって逆に見た人の心に残らない。あとコピーに「感動」という単語は禁句。それは押しつける物ではない。なるほど。

 

罪の声 (講談社文庫)

これは名作。「グリコ森永事件」を題材に、報道されている事実はすべてそのまま使い、犯人の動機や関係者の人生を著者の想像力で裏打ちしたミステリー。最後まで読むと、もうこれしか無いんじゃないかという気になる。主人公は昭和の未解決事件の特集記事を作るために調査をする記者。もう一人は、父親の遺品から出てきたテープを再生したらあの事件で使われた脅迫の音声、しかもこの声は自分だったというテーラーの主人。それぞれが調査を進め、終盤で二人が出会ったとき事件のすべてが明らかに。

 

幸・不幸の分かれ道 考え違いとユーモア

カバーの絵は内容とまったく関係ない。幸せになるのに必要なのはサブタイトルにもなっている「考え違いをしないこと」と「ユーモアを持つこと」。引きこもりになる前に読んでおくことを青少年に勧める。

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

たとえば「全世界の女子で小学校を卒業した子の割合は? 70%/80%/90%」。著者の講演に参加した人の数千人に聞くと、もっとも多い答えは「70%」だが正解は「90%」。世界はこの本を買って読めるくらい豊かな先進国と、女の子が小学校に通えないくらい貧しい後進国に二分されていると思いがちだが、ほとんどの国はその間にいる。マスコミはその残り10%ばかりをニュースにするが、この10~20年でどの地域もすごく豊かになっている。表紙の「世界の真実」は、「世界はこんなに貧しい」ではなくてその逆。目から鱗が落ちる一冊。

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長い連休があると読書が進まないんだよ