アテンション・プリーズ

突然、すげえ昔の歌が頭に浮かんで無限ループになることってないか? 実際には突然ではなく一人連想ゲームの果てだと思うんだけど。今週、私の頭に浮かんだのがこれだったんだよ。
     
昔、日曜日の放映されていた「アテンション・プリーズ」の主題歌な。上戸彩のリメイク版じゃないよ。紀比呂子(きの ひろこ)の方な。歌詞も所々しか思い出せなくて、ただその断片だけでも「これって、けっこういい歌だったんじゃないか?」と思った。歌を探して、歌詞も探した*1。1番から3番の出だしがすごいぞ。

  1番  陽に光り展ける波を  いま私は見る

  2番  朝焼けの花粉を浴びて いま私は着く

  3番  吹き過ぎる冷たい風を いま私は知る

「ひにひかり・ひらけるなみを」で五七になっているだろ。さらに「展(ひら)ける波」なんて還暦の私でもこの歌以外では見たことない表現だよ。「展開」の「展」だから、たたまれているものをひらくのか。波が太陽の光を反射してうねっている感じな。なんだよ、この格調高い歌詞。リンクを貼ったサイトを見たら作詞は岩谷時子だよ。2番の「朝焼けの花粉を浴びて」、このドラマが放映されたのが1970年だから、このころは花粉症なんか無かったんだよ。花粉が朝焼けの光でキラキラ光っているのな。これが3番になると「吹き過ぎる冷たい風をいま私は知る」。スチュワーデスという仕事の厳しさをあらためて感じたことを暗喩しているのではないだろうか。とにかくこの歌詞は甘くないんだよ。では今度は曲の最後の歌詞を見てみよう。

  1番  恋人はここにもいないかもしれない でも私は飛ぶ

  2番  友だちも私もひとり空の上 でも私は飛ぶ

  3番  近づけば涙で星も錆びてるの でも私は飛ぶ

な、ぜんぜん甘くないだろ。この当時、スチュワーデスって女性の職業の頂点に君臨していたんだよね。平成のいまならなんだろう。女子アナよりはるかにステータスは上。女の子とのなりたい職業でいつも一位。日本航空が経営難になる日が来るなんて誰も思わなかったし、国内線のCAがおばさんばかりになる日が来るとは誰も思わなかった。ここまで歌詞を見ていったが、サビの部分のメロディもいいよ。

  1番  揺れ動く・愛の雲間を・ひとすじに・続く私の・エアルート・エアル〜ト〜

  2番  旅に出る・夢に手を振り・思い出を・いつも迎える・エアポート・エアポ〜ト〜

  3番  負けないで・今日も入れよう・この胸に・熱い希望の・パスポート・パスポ〜ト〜

ここも五・七・五・七・五・五から生まれる日本人の耳に馴染むリズム感。すげえよ、岩谷時子。みんなも聴いてみてね