10月に読んだ本

さすがに通勤がないと読書が進まない。
     

PL思考(損益計算書にもとづく売上と利益の拡大)では日本にAmazonは生まれないと。たしかにAmazonって数年間は数百億の赤字だったからね。投資を抑えて人を減らせば利益は上げることができる。そうではなく、調達した資金を最大限に生かし、数年先のキャッシュフローを最大化にするような発想が必要だと筆者は主張する。それができている会社、反対にダメな会社を誰でも知っている企業を例に取り解説。マスコミがそもそもPL思考というか、そもそも経済学をわかってないのも問題だよね。これは入院の前に読んだ。


ミステリ国の人々

ミステリ国の人々

古今東西のミステリー小説の主人公の紹介。それだけだとすごく単調な本になってしまうところだが、切り口を変えてみたり逸話の種類を変えてみたり、最後まで飽きずに読めた。たしか病院の待合室で読んでたな。


ホラー映画のカテゴリでの「オカルト」は宗教的な伝承が関係する恐怖だが、この本は心霊現象、超能力、スピリチュアル...これらの現在の科学では説明できないが、実在を否定することもできない現象やモノ。このオカルトについての真面目なルポタージュ。筆者の姿勢は迂闊に信じない、かといって頭ごなしに否定もしない。あくまで公平な立場で関係者に話を聞きに行き、実物を見る。結論はどれも「よくわからない」。それは関係者本人も同じことを言う。よくわからないから研究しているという人もいる。


ドキュメント 道迷い遭難 (ヤマケイ文庫)

ドキュメント 道迷い遭難 (ヤマケイ文庫)

遭難のルポタージュがヤマケイ文庫(山と渓谷社)から何冊か出ていて、本書は一人で山に登って遭難してしまった人の話。その話が聞けるので本人は生還している。山で迷ったときの鉄則があるそうで、「道に迷ったら正しい道だったところまで戻れ」登りは良いのだが、下りの場合は戻るということは登ること。体力的、心理的に壁が高い。もう一つは「道に迷ったら沢には降りるな、峰に登れ」下に降りればなんとかなる、沢に行けば水があると思ってしまいがちだが遭難する人はほとんど沢に降りてしまっている。小さい山なら降りれば道路にでるとか、川に沿って歩けば民家があることもあるだろうが、壁や滝があって行き止まりになることが多い。その時点では元の道を登る体力がなくなっている。


怪異十三

怪異十三

ホラー作家の筆者が怖いと思った東西の話を集めたもの。どれもトイレに行けなくなるほど怖い話ではなく、文芸作品として完成度が高く重みがある短編。


むかしのはなし (幻冬舎文庫)

むかしのはなし (幻冬舎文庫)

日本の昔話が2ページくらい載っていて、その後に話が始まる。主人公も舞台も異なる短編が続いて、どれもラストは切ない話なのだが、本の真ん中あたりで登場人物はそれぞれ違うがこれはどれも近未来の、ある状況に置かれた時代の話であることに気づく。さらに読み進めると、これらの一人称の短編集は誰に語りかけたものかがわかる。そこで本のタイトルの意味がわかりより切ない気持ちに...うまいなあ