それって「自己責任」の範疇か?

ここ数日、ニュースも新聞も、左寄りの人も右寄りの人も、やたら使っている言葉が「自己責任」。なにか選択肢があるとする。AかBのどちらかを選ぶという選択だけでなく、Aをする、Aをしないという選択肢もあろう。このとき、両方の選択肢の長所と短所、利益と危険を選択する本人が知ることができる立場にあったとする。その上で選択を行い、その結果として不利益を被ってしまった、命の危険にさらされた。でもあなたはそれがわかった上での行動でしょう、それはあなたの選択の結果ですよ。これが自己責任だと思う。宝くじを買ったけど当たらなかった、株を買ったら暴落した、ラーメンを食ったらまずかった。これはすべて自己責任。だが渡航禁止が出ている地域に行ったら捕まった。これは自己責任として議論することなんだろうか。赤信号の交差点を渡ったら車に衝突した、地図もコンパスも食料も持たずにサンダルで冬山登山をしたら遭難した、真夏の炎天下で帽子もかぶらず水分の補給もせずにマラソンをしたら熱中症で倒れた。「無謀な行動」は自己責任論の外側にある事柄なのではないだろうか。
もちろん人間には「自己決定権」、通称「愚行権」というものがある。たとえば一万円札でたき火をする。これは本人の勝手であり「馬鹿なことは止めろ」と忠告をすることはできるが禁止することはできない。だがこれを行使する前提は「他人に危害を加えない」、「他人に迷惑をかけない」である。よって、自分の一万円札でたき火をすることはできるが他人の一万円札でたき火をすることはできない。また、いくら自分の一万円札でもマンションのベランダでたき火をすることは隣の部屋の住人が煙たいのでできない。
いま話題になっている人を「自己責任」で論じることは、ただの「無謀な行為」、「迷惑な行為」を格上げすることにならないか? 私としては日本への入国禁止、それが無理ならパスポートを取り上げて出国禁止にして欲しい。