炎の28番勝負ー8本目「四月の永い夢」

公開は5月12日なのにまだやってたんだな。しかも満員。そんなに話題にもなってないし、有名な俳優が出ているわけでもないのになぜ? 3年前に恋人が死んでしまってからは小学校の教諭も辞めてしまい、そば屋のアルバイトをしている主人公。そのそば屋が廃業することになったところから物語は始まる。彼女めあてでそば屋に来ていた内気な手ぬぐい職人(三浦貴大)は、そば屋が無くなると会えなくなると意を決して声をかける。一緒に花火を見たり知り合いが歌うジャズを聴きに行ったり、いい雰囲気になりそうなのに彼女が煮え切らない。そば屋のおばさんからも、教員免許を持っているあなたはこんなアルバイトをやっているような人では無いと言われるが職探しもしない。産休に入る友人の教師が自分の代わりに臨時教員をやってみないかと校長に合わせるが本人がその気にならない。恋人の母親から、息子の遺品を整理していたら渡したいものがあったので家に来ないかと言われる。主人公が母親に告白するいままで言えなかったこと...細かいイベントはいろいろあるが主人公の煮え切らなさにけっこういらいらする。終盤、大きなクライマックスがあるわけでもカタルシスがあるわけでもなく、わずかに主人公の再生を匂わせて物語が終わる。ただ、その割に満足度が高い映画で、とにかく主役の朝永あきがクソ可愛い。
     
北川景子のような隙の無い全方位的な美人ではなく、職場や町内にいる美人。演技も上手だし、こういう女優さんがまだ隠れているのだなあ。ただ無色透明な彼女に、濃すぎる三浦貴大はどうなんだろう。共演が高橋由美子関根恵子、ダメ押しに森次晃嗣という昭和感満載の映画だった。