真冬の映画まつり「おみおくり」

さすがに真冬ではないよね。真冬の映画まつりも最終回。また単館上映のマイナーな映画に行ってしまったよ。高島礼子演じる納棺師の話。女性版「おくりびと」だな。女性の納棺師の方が書いたドキュメントが原案になっているそうだ。その人とは別の人だが、東日本大震災のとき東北在住の女性の納棺師の方がけっこう長い期間にわたってボランディアで納棺をされた。生前の姿とあまりに変わり果てていると、目の前の遺体が自分の子どもだとか奥さんだと思えない。すると、その人はもう死んだんだ、この世にいないんだと気持ちの切り替えができない。そのために生前の姿に戻して遺族に対面させる。そこで初めて泣くことができたという人も多いと書いてあった。この映画は富山県の氷見が舞台。ある事情から高島礼子の元に弟子入りするOLの目を通して、納棺師の仕事、亡くなった人と家族との物語を綴る。話はいい話なんだよ。だが役者の問題か演出の問題か、高島礼子以外の人の演技がすごくイマイチ。途中から慣れたけど、それまではテレビの再現ビデオを見ているようだった。その中で高島礼子はやっぱすごいよ。とくにニュートラルな状態からほんのちょっとだけ喜怒哀楽のどれかに触れている微妙な表情や仕草が本当に上手。こういう人なら私も弟子入りしたい。エンドロールで「宮下順子」が出演していてびっくりした。まったくわからなかったが、よく考えれば私よりだいぶ年上。何人か出た老婆の中の一人だったんだな。