秋の映画まつり「ゲット・アウト」

いやいや、まいった。これは傑作だ。昨年に「ドント・ブリーズ」を観たときは、いままで誰も考えたことがなかったシチュエーションに驚いたが、これはストーリーが見事。黒人の青年が、白人の彼女と一緒に彼女の実家に泊まりに行く。両親と弟、家の使用人が何かおかしい。翌日は親戚の集まりで10人くらいが来るが、みんな何かがおかしい。これは親戚一同、差別主義者で、主人公が酷い目にあうのかなと思ったら違った。以降も観客の予想をことごとく裏切る展開。そのミスディレクションがよくできている。話の全貌が判明したとき、主人公は絶体絶命のピンチに陥っている。彼の機転でそこから脱出し反撃に転じるカタルシス。ああ、良かった、助かったと思うと、すっかり忘れていた伏線がつぎつぎと爆発。いかにも低予算の映画なのだが、脚本次第でいくらでも面白い映画は作れる見本のような映画。ホラーのカテゴリには入らないか、今年のサスペンス部門の堂々の一位。観て損はなし。口コミのせいか、公開は1か月前だがほぼ満員の入りだった。