真夏の映画まつり「少女ファニーと運命の旅」

第二次世界大戦下のフランスには、ユダヤ人の子どもをスイスに逃がす地下組織が実在したらしい。この映画は実話に基づいていてエンドクレジットの最初に、いまはイスラエルに住んでいるファニーその人が出てくる。子どもを少人数のグループに分け、レジスタンスの引率者がスイスまで連れて行く。ただし引率者は偽造のパスポートを使うのでドイツ人の将校がうろうろしている列車には乗れない。子ども達だけで列車に乗り、引率者は自動車で乗換駅まで行って、そこでまた次の列車に乗せる。ところが列車の事故で引率者の待つ駅まで行けなくなり、同行していた青年も途中で逮捕されてしまい、8人の子ども達の運命はわずか13才のファニーに託された...1時間半の短めの映画なので最後は意外と簡単に国境まで付いてしまうのだが、9人の子どもだけの逃避行なので熊に襲われたり川に流されたりしたら逆に嘘っぽい。この映画、1000人のオーディションで選ばれたファニー役の女の子がすごい。フランス語なのでセリフの巧い下手はまったくわからないが、表情が実にうまい。喜び、悲しみ、不安、絶望。そして最初はなんで私が、私がみんなを連れて行くなんて無理と、戸惑っていたのが徐々に時間をかけて覚悟の表情に変わっていくのが見事。