7月に読んだ本

     

上海殺人人形 (ミステリー・リーグ)

上海殺人人形 (ミステリー・リーグ)

近所に置いて無くてネットで注文。家に届いてカバーを見たらなんかダメな感じだった。実際にダメだった...


     

凍 (新潮文庫)

凍 (新潮文庫)

かなり前に出た本で、たぶん有名な本。私は知らなかったのだが世界的に有名なクライマーの山野井泰史さんが同じく登山家の奥さんと二人でヒマラヤの難峰ギャチュンカン8000mを登頂する話。この人たちはパーティーを組まず酸素ボンベも持たない。途中で天候が激変し、下りでは何度も雪崩に巻き込まれ3日間の工程が倍の日数をかけて降りてくる。たぶん普通の登山家なら早い段階で死んでいる。だが頑強な肉体と精神、高度なテクニックがあるものだから、手足の指が凍傷になっても、酸素が薄い場所に長時間いたので視力が無くなっても、私から見ると生き地獄のような時間を経て地上に降り立つ。夫妻とも凍傷で手足の指を何本も失うことになっても、彼に言わせると「今回の登山は大成功、楽しかった」となる。まさにそこに山があるからだ、彼らを止めるものは死しか無いのかもしれない。


     

メグル

メグル

大学の学生部にふらっと行くと、係の女性から「あなたは行くべきよ。断らないでね」と無理に勧められたアルバイト。気が進まないままバイト先に行くと、そこで人生を変える体験をすることになる...よく練られたプロット、胸に残る読後感、今年の短編賞はこれだ!と思ったら7年も前に出た本か。これは内容といい、一編の長さといい、テレビ向き、映画向きの話だと思うがなあ。


     

三つの悪夢と階段室の女王

三つの悪夢と階段室の女王

先が読めない展開と、意表を突くラスト。これがデビュー作らしいがすごい新人が現われた。ただどれも後味は最悪だ。


     

海外の人気作家の短編を集めたアンソロジー。「奇妙な味」と呼ばれる分野だが、どれも読みやすく口当たりもいい。お勧め。


     

     国内の人気作家を3人1組で4グループ計12人。各グループに2枚のイラストを与える。作家はそのイラストが挿絵になるような短編を書く。それぞれの短編小説に対してイラストを1枚追加する。イラストは抽象画なので、同じ絵でも一人は植物、別の人は異星人のメカ、もう一人は...と企画が楽しい。さらに集めた作家の豪華なこと。2冊、24人の作品を読むと、現代日本のSFとミステリーの代表作家のオリジナルを読めるという贅沢な本。7年前の本で、この企画は2冊で終わってしまっているのが惜しい。せめて文庫本で再版してより多くの人に読んで欲しいな。