2月に読んだ本

2月はまったく同じテーマの本を過去に読んでいて内容もほとんど変わらない、ある意味、おさらいというか、なんで同じような本を買っちゃったんだというか。

だから数字にダマされる

だから数字にダマされる

新聞や雑誌にもっともらしく出てくるグラフや図表のウソを見抜こうという本。この手の本はいろいろ出ているが、どれか一冊は読んでおいた方が良いと私は思う。「少年の凶悪犯罪が増えている」、「若者の○○離れ」、「保育園の建設に反対しているのはオヤジや老人」、「爆買いの終了で訪日外国人向け商戦は終了」。はい、これぜんぶウソです。


昨年に読んだ「財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済」と内容がほとんど同じで、アイヤー同じ著者の本を買っちゃったかと思ったら別人だった。経済のことがわかっている人は同じ結論に行くのだな。たとえば日本は借金1000兆円で財政破綻寸前。これはウソです。たとえば1000万円の借金がある人がいたとしよう。月収が20万円、貯金が50万円しかなかったら重たい借金でしょ。でも貯金が2000万円、月収が100万円ある人ならいつでも返せる。借金だけ取り出して騒いでも意味が無くてバランスシートで判断しなければならない。この本によると日本の実際の借金は200〜300兆円、GDPの50%に満たないので心配することはないらしい。


思考力を鍛える50の哲学問題

思考力を鍛える50の哲学問題

現代の社会問題を古今東西の哲学者の思想から解決策を探る。このテーマの本も読んだな。いいかげん、考えて本を買えよと。


「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

因果関係、つまり原因と結果だと思っていたら、別のところに原因があって、どちらもそこから来る結果、つまり因果関係ではなくて相関関係だった。このテーマも読んだ。ただ、ほとんど一冊丸々それの解説で例も豊富なのですごくよくわかった。


紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

数年前の「このミステリーがすごい」の海外部門で一位だった作品。買ったまま何年も読んでなかったが、これは名作。ジャンル分けするならSF短編集ってことかもしれないが、SF風味の純文学というか、「SFはちょっと」と言う人も無理なく楽しめる。あくまでSF風味だから。とにかくどの話も物悲しさが漂う良い話。その物悲しさは喪失感だったり後悔だったり。お勧めの一冊。


芸能人寛容論: テレビの中のわだかまり

芸能人寛容論: テレビの中のわだかまり

この作者のデビュー作を以前に読んで、腰巻きに著名な評論家が「すごい論客が現われた」とか書いてあったので買って読んだら、たしかに切り口は悪くないのだが、イチャモンを付けているだけでその向こうに著者の理想やあるべき社会の姿が見えてこない。本作は芸能人に対するイチャモン集。これはなかなか面白い。この人はこのくらいのテーマがちょうど良いのだと思う。出版する順序を逆にしておけば「お、この人は政治や社会も少しは語れるんだ」となったのに。


ここ数年で読んだノンフィクションのワースト1が出た。タイトルが「不寛容の本質 なぜ若者を理解できないのか、なぜ年長者を許せないのか」なかなか魅力的なタイトルだろ。でもタイトルだけなんだよ。すげえな、この本は。書籍界の「クロユリ団地」、評論界の「劇場霊」、新書の「着信アリ」。テキトーなノウハウ本や娯楽本ならタイトルだけで買わせてサイナラーってのもあるだろう。でも腰巻きを見ると「注目の若手社会学者」と書いてある。こんな本を出しちゃって、この人の名声(もしあれば)に傷が付かないだろうか。大きなお世話か...