不動産流通システムという会社のサイトに不動産業から見たドラマの解説が出ている*1。1話ずつ、かなりの分量の解説でなかなか読み応えがある。よくありがちなプロの眼から見たドラマの揚げ足取りではなく、ドラマについて非常に好意的に書かれている。
この番組を観た視聴者の方から「私もあんな人(万智)に家を売ってほしいわ」
といった羨望とため息が交じり合った感想を聞くことがあります。
不動産仲介現場の敏腕の「家売るオトコ」たちからも「あの提案力は凄い」といった声も聞かれます。
ドラマの話と一笑するのは簡単ですが、この番組が高視聴率を維持する背景には、スーパー営業ウーマンで
婚活を取り組む万智の姿には、時代が求める新たなヒーロー像があるのかもしれません
私はあんな怖い人だったらイヤだが、業界でも評判のドラマのようだ。いまのところ6話までの解説が出ているが要約を書いてみた。
第1話
・サンドイッチマン・・・△ バブルのころはやった
・アポを取らない社員をガムテープでぐるぐる巻・・・△ 昔はやった*2
・地図を見ないで運転し細い路地でも曲がれる・・・◎ 不動産屋には重要
・庭の柿の木の枝を折る・・・× これはダメです
第2話
・中古物件をその場で査定・・・× もっと良く調査をしてから回答する
・短所を長所に変える視点・・・◎ 重要。とくに足立の説明は素晴らしい
・ポスティングが面倒なのでチラシを捨てる・・・× 売り主に失礼なので絶対にダメ
・新人の教育は必要ない・・・△ 必要ないは極論だが一人一人がプロなので自分で学びに行かないと無理
第3話
・その場で1000万円の値引き・・・× 予定内なら良いがあり得ない。売り主にも失礼
・最初の物件で断わられても想定内・・・◎ 客が自分で選んだ、という物語を作る
・狭小物件の提案・・・◎ 素晴らしい。専門家も見習いたいくらい
第4話
・査定1億5千万円の物件を3億円で売る・・・△ ちょっと乱暴だが、最初の査定が低すぎるのでギリOK
・総資産ランキング上位者の顔が頭に入っている・・・△ 筆者「すみません。私もそこまでは頭に入っていません」
第5話
・独身女性のマンション購入・・・◎ 「結婚と家を買うことは関係ありません」は時代をとらえた真実
・お婆さんの雑談につきあった庭野に「この家を売りたい」・・・◎ 筆者「この仕事の醍醐味がしっかり描かれて大きな感動を覚えた」
第6話
・2億5千万の事故物件が1千万・・・× せいぜい半額
・隣の家を調査・・・◎ 必要。ただしプライベートなことを買い主に教えるのはNG
記号は私が付けたので、私の解釈が誤っているところもあるかもしれないが、かなりの高評価だろ。これは北川景子が偉いのではなくて大石静が立派なのだがな。こんな記述がある。
相手によって価値観を柔軟に言い換える万智の営業トークは、頭の中だけで都合よく考えているのではなく、
彼女自身の幸せを心の底から希求する人生観に基づいたものなのかもしれません。
人の生き方に優劣はなく、それぞれがいろいろな事情を持ち、自分なりに一生懸命生きている中で、心の底から「家が欲しい」と思っている。
そんな一人一人の気持ちを、万智は決してないがしろにはしません。
それを全面に出すとありふれたドラマになるところを、最後に「落ちた...」とほくそ笑むことによってあくまでもダークヒロインのふりをするところが主人公の人物作りの秀逸なところだと思う。正直なところ「悪夢ちゃん」も「探偵の探偵」もレポを書くために見ていただけでそれほど楽しみにしていたわけではなかったが、これは面白い。「モップガール」と同じくらい面白い。ああ、9月末の喪失感が怖い...