真夏の映画まつり「シン・ゴジラ」

行ってきたよ。ららぽーと東京ベイのTOHOシネマ。壁と天井にもスピーカーがあるでかいスクリーン。しまった、こんなでかいスクリーンだとわかっていれば席はもっとうしろのが良かった。結論から言うと面白かった。ただ、この映画は怪獣映画ではない。小学生が行くと退屈すると思う。2時間くらいの上映時間で、スクリーンに動くゴジラが出ているのは20分くらいではないだろうか。ゴジラが日本に上陸したらどうなるかのリアリティを追求しているので、もしゴジラが2時間も暴れたら日本は壊滅する。いったん海に戻ったり、エネルギーが切れて寝ている時間が長いのであのくらいの被害ですんだわけだ。
そもそも現代において「巨大な怪獣が都市で暴れ回る」ということのリアリティがない。そこでこの映画は怪獣よりも「人間には理解ができず歯が立たない物が現われたときに政府はどのように対処をするか」のリアリティを追求した、小説のジャンルでいえば「ポリティカル・スリラー」になっている。「理解ができなくて歯が立たない物」に対するリアリティはある。地震、台風、噴火の災害もそうだし、ISや日本海の向こうの世界三大バカ国家だって理解ができないし、現実的にはどうしようもない。米露というならず者国家だって日本人には理解ができないし、いつ発狂して日本に牙をむくかわからない。ゴジラというただ一つの架空のオブジェに対して、あとは徹底的にリアルな物語を作るという「狭義のSF」のフォーマット。よって、従来の怪獣映画ではないが、現代において観客を納得させるゴジラの映画があるとすればこれしかないと結論を出した監督に脱帽。
出演者は9割が「進撃の巨人」といっしょ。残りの1割はドラマ「HERO」の犯人とか特捜部とか。それぞれ適材適所だっと思うが、ただ一人浮いていたのが石原さとみ。彼女が悪いのではないよ。彼女にあの役をやらせたプロデューサーが悪い。ほかの出演者がマラソンとか競歩をやっている間をフィギュアスケートですり抜けていくような浮き方だった。たった一人だけなのですごく残念。