春の映画まつり「三勝一敗」

GWの後半ずっと出勤していたので代休を取って映画を見てきたよ。まず1本目。
     
原作はコミックでまだ連載が続いている長い話らしい。謎のウィルスで人間がゾンビ化するという過去に数十本も作られているプロットだし、日本がこういうパニックアクション物を作ると必ずトホホな映画になるんだよね。あんまり期待しないで観に行ったんだが...恐れ入りました。すごい完成度です。なにがすごいって、日本映画の限界(予算が少ないとか、マッドマックスのような迫力のある映像を作るノウハウがないとか)を十分にわきまえた上で、その中で良い作品を作るにはどうしたらよいかをスタッフが真剣に考えて、練りに練られた脚本と演出と映像になっている。ハリウッド映画が東京ドームくらいの土地にブルトーザーを入れて作った英国庭園だとすると、この映画は10坪くらいの土地に庭師が作った日本庭園。狭い範囲で繰り広げられる細かいアクションなのだが、そのせこさを感じさせないようにしたカメラワークが作るスピード感と迫力。以前に記事にしたが智恵さえあれば予算の無さをカバーできる、日本映画のあるべき方向を示した作品だと言って良い。
     
それと対称的なのがこの映画。これは異星人の攻撃で絶滅の危機に陥った人類の戦いなのだが、少ない予算で壮大なテーマに挑んで、物語をせこくまとめちゃった失敗作。主演はキックアスのクロエ。この人をスクリーンでは初めて見たが、西洋人としては珍しく顔の縦と横が同じサイズなのな。
     
自分の不注意で娘を死なせてしまった精神科医。奇妙な患者ばかりが来るようになるがそれがすべて幽霊で、しかも主人公が少年のころに起こった列車事故の犠牲者なのがわかる。なぜ彼らは自分のところに来るのか、自分はあの列車事故にどう関係しているのか。いろいろあって解決したかに見えたが、まだ幽霊が出てくる。あの列車事故の真相はなんだったのか...予告編を見て最初の解決までは薄々わかってしまったが、まだ続きがあったお得感。それにしても最後に明かされる意外な真犯人、いったい動機はなんだったんだよ。
     
タイの映画。舞台は湖で魚を捕っている漁師の子どもが通う水上教室に赴任した若い男性の先生。この水上教室、3つくらいの小屋が筏の上に作られていて先生と子どもは平日はここに寝泊まりし、週末になると家に帰る。先生は勉強を教えるだけでなく食事を作ったり寝かせたり、1年中が林間学校。その先生は前任者の女性が付けていた日記帳を見つけ、自分と同じことに悩んで苦労をしていたことを知り、いつか顔も知らないその女性に恋をする...まず、タイ語が特殊すぎる。音とかイントネーションが独特すぎる。この女性教師が可愛い。
     
これ以上、美人だとリアリティがなくなるギリギリの可愛さなのがイイ。男性教師の奮闘ぶりと、1年前の女性教師が交互に描かれて、けっこうガチャガチャしている。日本映画やアメリカ映画だとここをもっとスッキリまとめると思うのだが、このガチャガチャ感が逆に新鮮。ラストの描き方がすごくいいよ。