「怪しい彼女」

もともとは「スーパーマンVSバッドマン」を観に行こうと思ったのだよ。だが、あんまり体調も良くなくて3時間近い映画はつらい。では有村架純のはどうだ? あれは藤原が出るからイヤだ。どうせいつもの藤原なんだろう。では広瀬すずを観に行くか。あれは続編が月末に公開なんだろ。それなら続編が公開されるギリギリのタイミングで見て、続編を翌週とか翌々週に観たい。「ボーダーライン」も観たいが帰りが遅くなる。うーん、なんかないかな。あ、これがあった。
     
これは胃が持たれない映画じゃないか。いまの体調にぴったりではないだろうか。という程度の理由で大きな期待もしないで観たのだが...まいった。これは名作じゃないか。どちらかというと低予算の映画なんだよ。主演が多部未華子、相手役が要潤だもの。大がかりなロケをしているわけでもない。それでも「丁寧」に作られている映画はあるんだよね。さらに多部未華子の歌の破壊力がすごい。
     
これはフォーククルセダーズの「悲しくてやりきれない」を歌っているシーンなのだが、不覚にも涙が出てきたよ。日本三大ぶさかわタレントの歌で泣いてどうするオレ。なんなんだよ、デカワンコ。あと73才のおばあちゃん(倍賞美津子)が20才になっちゃったという設定なので多部未華子のセリフの言い回しが古い。だがちょっと古い日本語、活字で読むのではなく、耳で聞くとすごく心地よい。クライマックスで娘(小林聡美)に言うセリフ。私(デカワンコ)の人生はおまえ(娘)が思っているほど悪いものではない、この人生を送ったことに満足していると伝えるのだが、「わたしは何度生まれ変わっても寸分違わず同じ人生を歩んでやる」。この「寸分違わず」ってひさしぶりに聞いたが、この言葉の力強さ、それを発した人の意志の強さに胸を打たれる。この映画は韓国の映画のリメイクらしいが、多部未華子の歌と昭和の日本語がたいへんな付加価値になっていると思う。いや、ほんと、多部未華子の歌はすごいぞ