海難1890

これを観に行ったので帰りが遅くなっちまったぜい。もうこの話は史実を読んだだけでも感動するので、よほど脚本をまちがえない限り名作にならないわけがない。どうせやるなら明治時代だけではなく、トルコからの恩返しのイラン・イラク戦争もやって欲しいなと思ったのだがポスターの忽那汐里を見るとちゃんとあるようだ。この映画は日本とトルコの合作で向こうでも公開されてヒットしているようだ。映画が始まるといきなりトルコ大統領の挨拶でびっくり。安倍ちゃんも挨拶せんか。2時間におさめるため、かなり駆け足の展開だがなかなかの出来の映画。なにより視点が日本に寄りすぎず、勇気と誇りがあるトルコの軍人に対する敬意、困っている人がいるなら後先考えずに手を差し伸べる我々の先人達への敬意を感じる映画になっている。イラン・イラク戦争での在留邦人の救出に対しトルコ側の「エルトゥールル号の恩返しです」の声明が出てくるのを楽しみにしていたが無かった。むしろ「恩返し」ではなくトルコ人の真心から出た行為として扱われている。それはそれでいい。危険なフライトのためパイロットを集めて志願者を募ったときにその場にいた全員が手をあげるシーン、テヘランの空港で日本人の乗客のためにトルコ人が道をあけるシーンは涙無しに見られないぞ。それに比べて救援機を飛ばさなかった日航は末代まで祟られてよし。
今年もずいぶん映画を観たよ。私の個人的なランキングを書いてみよう。

  2015年のベスト

     邦画:ビリギャル

     洋画:キングスマン

どちらも非常に丁寧に作ってある。練りに練られた脚本、役のイメージに合った主役、脇を固める味のある共演者。まだの人はぜひ見てくれ。

  心にしみる名作

     愛を積む人

     ボクは坊さん

     案山子とラケット

     海難1890

どれも企画と脚本があって、そこにイメージに合った俳優をはめていった作品。とくに「愛を積む人」の樋口可南子、「ボクは坊さん」の伊藤淳史が素敵すぎる。

  技ありの佳作

     イニシエーション・ラブ

     脳内ポイズンベリー

     マッドマックス 死のデスロード

イニシエーション・ラブ」は映像化不可能と言われた作品を映画化した企画の勝利、「脳内ポイズンベリー」は脳内の芸達者な俳優がすごすぎる。ディズニーの映画ってこれのパクリじゃねえの? 「マッドマックス」はカメラワークの見事さに唸った。

  残念、とにかく残念だった

     HERO

     エベレスト3D

     ジュピター

「HERO」はキムタクが出ないシーンは面白い。だがそのシーンはあまりにも短い。「エベレスト3D」はもう一工夫をすればもっと面白い映画になったのではないか。「ジュピター」はストーリーが無さ過ぎだろう。

  なぜ誰も止めなかったんだ

     劇場霊

     進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド

     ストレイヤーズクロニクル

劇場霊」は脚本以前に企画がダメすぎる。「進撃の巨人」はこの予算でアニメの続編を作って欲しかった。「ストレイヤーズクロニクル」は脚本も配役も悪くないのに演出がダメという珍しい作品。上に書いてない作品は可も無く不可も無くの不可寄り。それでも上から9本はお勧めできる映画だから4分の1くらいの確率なんだよね。本なんか年間で100冊読んでも人にお勧めできるのって10冊も無いから事前にどういう本か調べても10分の1以下なんだ。AVなんかもっと低いから