設問も選択肢も適切でないアンケート

私の部署は販売をしているスタッフ向けのアンケートを実施することがある。消費者向けのアンケートを行なうのは別の部署で、私の部署は販売をする側から見たときのキャンペーンの効果とか、新しいサービスの売りやすさを調べる。このときに注意することがアンケートに答える側が誤解をしないこと、つまり100人の小学生が読んでも100人が同じ意味に解釈をすること。さらにフリーアンサーだと回答を書くのもめんどくさいし集計するのもたいへん。よって予想される回答を用意しておいてそこから選んでもらうのだが、適切な選択肢を用意すること。「本当は○○なんだけど、選択肢に○○が無いのでいちばん近い△△にしよう」となったら最悪。誤った結論が出てしまう。たとえば

  (質問) あなたはいま何が食べたいですか?

    1.そうめん

    2.鍋焼きうどん

このクソ暑いのに鍋焼きうどんなんか食いたくないやい。そうめんも食った気がしないので好きではないが、鍋焼きうどんよりはマシだよな。と考え8割の人がそうめんと答える。それに対して

  街ではそうめんが大人気! 8割の人がそうめんを食べたい!

おいおい、うなぎが食べたいとか寿司が食べたいという意見はどこに行ったんだと。あとは現実的でない回答を入れるのもNGである。

  (質問) あなたは仕事の量と収入のバランスをどう考えますか?

    1.仕事がもっと増えてもいいので収入を増やしたい

    2.収入は減ってもいいので仕事を減らして欲しい

    3.仕事を10分の1にして収入を10倍にしたい

全員が3と答えるだろう。これができるなら経営者はとっくにしてるよと。
そんなアンケートをする奴はいねえだろ、と思うかもしれないが存在するのだよ*1

  外国が日本を攻撃してきた際の対応を聞いた設問では「非暴力で抵抗する」が41%で最も多く、「武器を取って戦う」の29%を12ポイント上回った。

  「逃げる」16%、「降伏する」7%を合わせると、非交戦派は64%に上る。安倍政権が目指す「戦争のできる国」を国民は拒否していると見るべきだ。

さすが、安定の共同通信琉球新報。実際にどういう質問だったかはわからないが、「攻撃してきた際」といっても程度の問題がある。日本の領海にミサイルが落ちたのか、海兵隊が上陸してきたのか、各地を爆撃されているのか。音速の核ミサイルが飛んで来たら抵抗することも戦うこともできないけどな。この「非暴力で抵抗する」の意味がわからない。「武器を取って戦う」の選択肢があるということは、市民が武器を手にとって戦う局面だろう。一家に一機、戦闘機が配備されているなら領海上の敵と戦うことはできるが、すでに防衛ラインは突破され市街に敵の兵士が大量になだれ込んで来た状態なのだろう。その状態で非暴力を貫くことはできるが、それは抵抗したことになるのか? このアンケートがこんな選択肢なら回答はどうなっただろう。

  (質問) 長期にわたる外交努力の甲斐もなく、他国の軍隊が日本に侵攻してきました。あなたはどうしますか?

    1.同盟国の救援が来るまで安全なところに避難する

    2.他国の力に頼らずにみずから武器を持って敵と戦う

    3.子どもが皆殺しになってもいいので一家全員が敵の面前で座り込みをする

    4.切腹する

1は集団的自衛権。2はスイスのような永世中立国のスタイル。だがスイスのように事前の準備がないなら2は3と変わらない。そして3と4はほとんど差が無い。こっちのが現実的なアンケートではないか?
あんなアンケートをするのも狂っているし、それをソースにして「戦争のできる国を国民は拒否している」と結論をつけるのも狂っている。「戦争ができる国」と「戦争をする国」はまったく違う。日本を除く先進国のほとんどは「戦争ができる国ではあるが戦争をしない国」なのだ。