梅雨の映画まつり「ストレイヤーズクロニクル」

うーん、惜しい。いろんな意味で惜しい。この映画、もっと面白く作れたんじゃないのか? 前半のドライブ感が後半になると急になくなってもたもたしてくる。もちろん静と動、緩と急は必要だ。だがそれにしても後半のテンポが悪い。あと主人公の岡田将生に敵対する、寄生獣の人が率いるグループ。悪役(主人公とベクトルが違うだけで悪ではないのだが)こそ魅力的に描かなければならないのにそこの人物造形が弱いので、クライマックスで本当の悪に一人一人倒されていく悲しみが湧いてこない。たぶん、監督がアクション映画を撮った経験がないのではないか? せっかく本多孝好の原作がある映画なのだから、たとえば坂本監督だったら格闘シーンが無駄に長いとか、話の流れと関係ない成海璃子のシャワーシーンとか弊害はあっても、最後までスピード感があって、ラストは泣ける話になったように思う。岡田くんは熱演していたので実に残念な映画であった。