木を見て森を見ず。森の議論をしないて木の反対をする愚

たとえばこんな記事*1。リンク先に飛ばなくてもタイトルだけ見れば十分だ。

  樋口陽一氏「この国の今と未来にもう一度自信を持ちました」 雨の国会前に若者ら2500人が集結!

    〜6.19 SEALDs主催「戦争立法」反対抗議

私はこの国の今と未来が不安になりました。たとえば、南海トラフ地震が起こったとき津波の被害が予想される地域があったとしよう。そこに堤防を作る計画が持ち上がる。さらに堤防を作るにあたって巨大な岩盤を破壊するにはダイナマイトを使うのが手っ取り早いとする。ここで2種類の反対運動が起こる。一つは堤防を作ることによって失われる景観に対して「自然を守れ」という反対運動。このとき、被害が予想されている地域の住民が「たしかに津波は怖い。だが私たちは自分たちの命や財産より自然を守りたい」と言っているなら行政側と住民側が議論をして決めるべきだ。その中で、堤防を作るかわりに沿岸の住民は高台に引っ越すとか避難路の整備をするとか代案がいろいろ出てくるかもしれない。だが住民の意思をそっちのけで外部の団体がただ「自然を守れ」と叫ぶのは誤りだ。そしてマスコミはこっちの声のがでかいからニュースにする。沖縄の米軍基地はこのフェーズだと思う。ニュースだけ見ると、沖縄から米軍が撤退したときのリスクを県民はどう考えているのか不思議に思う。
上に書いたニュースはそれでさえない。集団的自衛権とか関連立法はただのツールである。私が書いた例ではダイナマイトなのである。ダイナマイトのような物騒なものを使うのがけしからんと言っている。2500人の若者に考えて欲しいのはそこではない。堤防が必要かどうか、堤防を作らないならどうやって住民を津波から守るか。そこの議論をしないでダイナマイトに反対してもしかたないだろう。単純に考えると、ダイナマイトだけに反対するということは堤防には賛成しているということか。君らはスイスのように日本を永世中立国にして国民皆兵、徴兵制を望んでいるのか。それともアメリカとの関係を強化することを望んでいるのか。まさか憲法九条を念仏のように唱えていれば未来永劫、日本の安全は保たれるとは思ってないよね...え、そうなの?