結婚式出席のアルバイト

いま読んでいる実話系の怪談集にめずらしいアルバイトの話が出てきた。結婚式に出席するアルバイト。日給6,000円から8,000円くらいで、当然、飲み食いはできる。披露宴だけでなく、結婚式や二次会への出席も依頼されることもあり、その場合は日給が上がる。さらにスピーチや歌の依頼もある。楽なようだが、依頼者との関係、つまり親戚、高校の同級生、前の会社の同僚によって事前にプロフィールを暗記しておく。中学校の同級生ならその町の様子とか当時のエピソードとか。アルバイトがひとりだけのケースは少なく、数人のことが多い。
こんなアルバイト、本当にあるのかと調べたら、本当にあった*1。ではどういう人から依頼があるのかというと、このサイトに出ているのが

  ・明日結婚式(挙式・披露宴)だけども友人の人数確保ができなかった。

  ・会社の上司、同僚がどうしても結婚式(挙式・披露宴)に出席できない事情ができてしまったため席が空席になってしまう。

  ・他の結婚式と日程が重なってしまい出席することができない。

  ・学生時代の友人との連絡が取れなくて結婚式に呼べない。

  ・結婚式場と地元が遠いため友人の人数を確保できないので代理出席を頼みたい。

  ・結婚式での相手方の出席者とこちら側の出席者との人数のバランスが取れない。

  ・親族がいない又は親、親族等と不仲のため、結婚式で祝ってくれる出席者が少ない。

  ・結婚式場で相手方にはあまり会わせたくない友人がいる。

  ・転職、離職したばかりのため結婚式に出席できる会社関係者がいない。

  ・主賓・友人代表スピーチや歌の余興などを請け負ってくれる人が確保できなかった。

ここに出ていることって、見栄さえ張らなければわざわざアルバイトを頼むようなことではないと思うが、結婚式というものは見栄でやるものか。だが、金はかかってもアルバイトが必要なことはあると思う。隠したい過去があるときだな。たとえば中学、高校とずっとヤンキーだった。それを相手には隠していたら友人は呼べないだろう。あとは前の会社の友人という設定でアルバイトを頼むのだが、前の仕事は風俗だったとか。私は経験がないが、片方の家が地元の旧家のためすごい人数で、相手側の人数をかき集めるのが大変だったとか、新郎側の出席者がゼロで全員新婦側だったとか、いろいろあるようだ。
で、私が読んだ怪談はどういう話かというと、新婦側はお嫁さんとお母さんだけが本物で、あとは全員がアルバイトだった。花嫁の手紙で新婦側のアルバイトはちゃんと涙を流す。その数年後、町でばったり新郎側の出席者に会ってしまう。向こうはこっちを覚えているので、当時の設定を思い出して話を合わせなければならないので困ったなと思っていたら、その人が「あんなことになるなんてねえ」と。新郎は結婚してすぐに亡くなったそうである...