豊かさとは

2014年を終えるにあたってこんな話題はどうだろう。まずはこのグラフを見てくれ。
     
日本、アメリカとつづくので自動車の生産台数? カナダやオーストラリアが上位に来ているのは天然資源のような気もするし、日本やドイツがいるので工業生産量のようにも見えるが4位にノルウェーが来て、中国が入っていないのでわけがわからない順位だ。テレビや新聞ではGDPで中国に抜かれたとか、GDPの成長率が世界で100位以下だとか、生産人口が減少に転じるとかいまにも国が滅びそうな論調ばかりだ。だが早くから経済が成長し、成熟期に入った国はGDPなど伸びるわけがない。EUでもっともまともなドイツなんか日本より下だ。そもそも経済の成長が国民一人一人の生活に還元されなければ幸福な国とは言えない。

  ・国民の福利厚生度がどれだけ高い水準にあるか

  ・将来にわたってその水準を維持できるか

  ・その水準をさらに高めてゆく能力があるか

EUも2020年に向けての長期戦略ではGDPという言葉を使っていないそうである。この観点で国連が2012年に発表した経済統計がある。これはつぎの4つの資本についてを数値化したものだそうだ。

  1.国民の頭脳力である人的資本

  2.ヒトが生産した資本

  3.国民の信頼関係である社会関係資本

  4.農業や鉱物資源を中心とした天然資本

いくら国民がたくさんいても、若年層の人口が大きくても、生産をするための教育と訓練がされていなければ資本にならないのだ。天然資本も国土が大きいだけではダメ。そこが田畑や牧草地、伐採が可能な森林になっていなければ天然資本にならない。その点で日本はけっして持たざる国ではなく、失われた20年の間にも真の国力となるこれらの資本は国民の一人一人が整備をしつづけていたわけだ。私が作ったグラフの元になっている表がこれ*1
     
ひとつひとつを見るとそれなりに納得できるのではないだろうか。「生産した資本」が圧倒的な1位だが、これは人的資本に大きく依存している。この順位と人的資本の順位はほとんど差がない。いま話題になっているエアバックもそうだが、長い目で見たときに生産拠点をなんでも国外に移すのが果たして得なのか、もう一度よく考えて欲しいと思う。天然資本は20カ国中の13位だが、それでも13位。広大な国土を持つ中国やインドを抜いている。たしかに新幹線で外を見たり、国内線で下を見ると、平らな土地でビルや家が建ってないところはすべて農耕地か牧草地になってるよな。10位に入っているベネズエラ。ここってどんな国だっけ? 親戚がいる人は教えて欲しい。これを見るとGDPにこだわっている日本政府はだいじょうぶかと思うのと、これは我々の先人が残してくれた財産でもあり、これをつぎの世代に引き継がなければならないと強く思うのであった。と記事をアップしたのでウルトラマンをもう1回観よう