上村愛子に会いに行こう

行ってきたよ、上村愛子トークショー
     
コルトンプラザ上村愛子の写真展をやっていて、14時から観覧無料のトークショーがある。早く行けば前の方で見られるのはわかっているが、何時間も立ちっぱなしでいられる年令ではない。しかも金曜日から風邪気味。1時間前に行ったらこんな感じ。
     
この写真ではわからないが、ここで大失敗をしたのに気づく。前の方に50席くらい椅子が用意されていた。あと1時間早く行けば座れたじゃないか。椅子の後ろに1列分の輪ができているので、2列目の輪に並ぶ。今回のトークショー、私が参加したイベントでは一番のビッグネームではないか? 去年の北川景子、30年前に偶然に見た東武動物公園岩崎良美の歌謡ショー、20年前に偶然に見た入場無料の杉田二郎久保田早紀のコンサート。そこまで入れると40年前の藤圭子のコンサート、30年前の石川ひとみのコンサートもあるか。北川景子がいくら有名でも国外では台湾とかタイの人がちょっと知っているくらいだろう。だが上村愛子はカナダやヨーロッパのウィンタースポーツが盛んな国なら知っている人も多いはず。世界のウエムラだ。
残念ながらイベント中は写真撮影が禁止なのでここから先の画像はない。14時を3分過ぎたころに司会のお姉さん登場。続いてトークショーの相手の写真家が登場。この人の弁舌がやたら立つ。だからトークショーが成り立つわけだ。このころは黒山の人だかり。上の写真の左上、2階や3階から見ている人も多い。最後に上村愛子が登場。身長は大きくもなく小さくもなく。太ってもいなく痩せてもいない。まさに中肉中背。だが一般人と違って中肉の肉は脂肪じゃなくて筋肉だ。白いジーンズに上は薄紫の...あれはなんと言うのだ。ボタンがなくて丸首で上からかぶるやつ。でもTシャツではない。
そもそもアスリートって、中学生のころからスポーツしかやってなくて三十路を迎えるので、野球選手にありがちな頭の悪さはしかたないと思うのだが、生の上村愛子は素の顔はキリっとして、笑顔が素敵で、話し方や話す内容で聡明な女性であることがわかる。笑うと大塚寧々に似ていることを発見した。挨拶のあとは、写真家が用意した4枚の写真に対して、それにまつわるお話。お母さんのこと、里谷多英のこと(これをテーマに選んだのが意外)、ご主人のこと。

  ・お母さんは試合のたびに心配していたので4月に引退してやっと娘の心配をしなくてよくなった

  ・良い結果が出せなかったときもお母さんの「愛ちゃんの滑る姿がいちばん好きだよ」が心の支えになった

  ・里谷多英は尊敬する先輩でいまでも仲良し。日本人でもメダルが取れることがわかり自分の目標が定まった

  ・アルペンスキーのスター選手だったご主人は雲の上の人。声をかけることさえできなかった

最後の4枚目は写真家の渾身の一枚。テレビでは笑顔しか見せない、目から涙が出ていても笑っている上村愛子が素で泣いている写真。隠し撮りに近いので半分は黒い影になっており写真としては不合格の出来なのだが、誰も知らない上村愛子の表情を撮影した今回の写真展の目玉だそうだ。本人は「私は人前では笑ってますが、陰ではこういう顔で泣いてます。これがあるから選手を長く続けられました」。この写真は今年のソチの一つ前、バンクーバオリンピックのもの。テレビのインタビューで泣きながら「なんで一つずつなのかなって思います」と語ったあの試合。このときはワールドカップで優勝して本人もメダル確実だと思っていたので、4位に終わったのが「なんで? なにが悪いの?」と信じられなかったそうだ。
あっという間に1時間が過ぎて、司会が「お子さまに限りご質問を受け付けます」だって。大きなお友だちの質問も受け付けてよ。私はこういうときのために考えてきたんだから。最初は野球少年から「大きな試合で緊張しないようにするにはどうしたらいいですか?」。これに対しては「これをやれば緊張しなくなるという方法はないです。失敗するたびに『これをやっちゃダメだな』、『あれをしちゃダメだな』という体験を積み重ねて自分の自信を高めるしかないです」。失敗体験だけが成長への道、青少年に送る言葉としてこれ以上の答えがあるだろうか。すごいぞ、上村愛子。つぎは私の前に立っていた中学生くらいの女の子。「私はいま14才でモーグルをやっているんですけど、どういうトレーニングをするのがいいですか?」って、私はモーグルをやっている人に初めて会ったよ。本八幡モーグルをやっている人なんかいるわけないから*1、きっと遠くから来たんだね。「中学生のときは、とにかく下まで滑りきることを心がけてください。筋力のトレーニングは高校生になってからでいいです」と。たしかに身体ができていないときに筋力トレーニングをすると良くないと聞いたことがある。いいなあ、二つとも良い質問に良い答え。私は「国内ではどのゲレンデが好きですか?」だったので質問しなくてよかった...
拍手に送られて上村愛子が退場。すぐは混んでいると思うので昼飯を食ってから写真展を見に行く。こ、これは...はっきり言ってこの写真展はイマイチだろう。原因は写真家の人が上村愛子を好きすぎるのだ。もちろんほとんどは試合会場での写真なのだが、ノリがアイドルの写真と変わらない。この記事のいちばん上、写真展の広告にあるような芸能人にはないような表情をもっと見たかった。ところでトークショーは無料、写真展も無料。会場で写真集だとかグッズを売ってたら記念に買ってもよかったのだが、何も売ってない。このイベントは何のためにやったのだ? まあ、良心的といえば良心的なのだが...

*1:決めつけるなよ