「物置のピアノ」

このポスター見てよ。このポスター見たら映画も見たくなっちゃうでしょ。主人公は福島県にある桃を作っている農家の娘。物静かな主人公とは対称的な大学生の姉、両親とお祖父さん、この一家には、川遊びの事故で死んだ弟が心の傷になっている。物語は原発の事故のため仮設住宅で暮らす人たちのつらさ、風評被害で桃が売れない農家の苦しみ、そして主人公と姉の確執、片思いの男の子、友だちの妊娠と盛りだくさん。キーになるのがピアノ。主人公も姉もピアノが大好きだったが、コンクールで主人公が1位、姉が2位になって以来、姉はピアノを弾かなくなった。そしてピアノは物置にしまわれる。姉が東京の大学に行って主人公は高校3年生になる。進学か就職か進路も決められず、両親と話すこともなく、ひとりで物置に入ってピアノを弾くことが心安らぐときだった。久しぶりに姉が故郷に帰ってきた高校3年の夏休みから映画が始まり、いろいろな出来事があって、最後は主人公と姉が思いをぶつけ合う。物置で主人公と姉が連弾するところが見せ場だ。薄暗い物置に窓から差し込む光をスポットライトにピアノを弾く姉妹が美しい。
これをクライマックスにしてもよかったと思うのだが、映画は主人公が所属する合奏部のチャリティコンサートがクライマックスになっており、これが盛り上げ切れていない。最後がやたらガチャガチャして残念。だがこの映画、なんといっても主役の芳根京子ちゃんがクソかわいい。
     
映画で主役を張る子ってかわいいなりに一癖も二癖もありそうな子だが、この子は混じりっけなしの純朴な17才。おじさん、心が洗われたよ。命の洗濯。スーパーで福島の桃が売ってたらぜひ買ってくれたまえ。もうシーズンが終わったか