8月に読んだ本

8月は暑すぎて本なんか読んでられねえよ。

隣人 (双葉文庫)

隣人 (双葉文庫)

どちらかというと「イヤミス」系のミステリー短編集。新人のとくに女性ミステリ作家に共通するのがミステリとしてのアイデアとしては悪くないのだが、小説作法がまだまだで、これでデビューさせちゃうのという処女作が多い。この作者はどのくらいのキャリアの人かわからないが、逆に小説として上手。大きな事件は起こらないのだがぐいぐい読める。ところがラストのどんでん返しというかカタストロフィが「え?...」。むしろミステリではなく純文学としてまとめた方がいいような
バカが多いのには理由がある

バカが多いのには理由がある

この人は経済小説を書いている人だね。私は「タチバナ・レイ」という女性かとずっと思っていたのだが「アキラ」という男性だったよ。この本は小説ではなく、世相を題材にしたエッセイ集。可もなく不可もなく。
山女日記

山女日記

「告白」や「白ゆき姫殺人事件」など映画やドラマになっている作品も多いいまでは人気作家。タイトルどおり女性を主人公にした登山を題材にした連作短編集。誰も殺されず、誰も死なない。ガチな登山小説だと私はノーサンキューだが、この主人公はほとんどが初心者。登山そのものよりも、その過程で一人きりになる、または友人と二人きりになることで主人公の心のベクトルは内に内に向かい、山に来るまでの出来事が語られる。ラストはそれぞれサプライズがあり、ミステリとしても楽しめる。うまいなあ。べつに海でも町歩きでも成立しそうな話だが、登山をするという集中と緊張の中で語られる物語、この舞台設定が技あり。
1億人のための統計解析 エクセルを最強の武器にする

1億人のための統計解析 エクセルを最強の武器にする

統計学は最強の学問である」は概略すぎて「はああ??」って感じだったが、これは正反対。Excelを使ってひたすら実例が示される。統計学を体系的に学ぶには不向きだが、とりあえず多変量解析や結果の評価がこれを読めばわかる、できるようになる。それほど厚い本ではないが、紙面のほとんどがExcelの画面コピーなので短時間で読破できる。一夜漬けで回帰分析を勉強しなければならない人にはお勧め。
天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)

天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)

北川景子が主演の「みをつくし料理帳」の最終巻。初めて読んだのが最終巻。一巻から八巻を読んでないのに最終巻。遊女の野江をどうやって身受けするのか知りたかったんだよお。ドラマの2話を見て最終巻なので、死んじゃった人とかいなくなっちゃった人もいるが、とりあえず読めた、楽しめた。それにしても野江はもっと細くて弱そうな人が演じた方がいいと思った。
さよなら神様

さよなら神様

小学生が主人公の連作短編集。といっても子ども向きではなく、論理を積み重ねて解決に向かう硬派のミステリ。ただ、被害者も加害者も主人公の身の回りの人。結局、真実なんか知らなければよかったという悲しみが漂う逆コナン君。