呪いの言葉

入社3年目の女子社員からある連絡のメールが来て、その後に私信が。

  最近、仕事のモチベーションがあがらないです。

  がんばらなきゃいけないって思うけど、気持ちがついていかないんです。

  3年目ってそういう時期なんですかね

呪術。呪いによって他人を病気にしたり命を奪ったりする。そういう術が現実にあるのかどうかは私は知らないが、呪いの言葉というのはある。言葉によって人は立ち直れないくらいダメージを受けたり、本人は意識しなくてもジワジワと心を蝕んでいく。その言葉を発した本人に悪気はなくてもだ。これが日本語ならまだいい。使い慣れてない言葉だとしても字面を見ると、その意味や文化的、歴史的背景が想像つく。だが外来語だと背景どころか意味さえよくわからないで、ただ繰り返し繰り返し矢のように飛んできて心に突き刺さる。彼女には「モチベーション」が呪いの言葉になっている。私は彼女の上司というわけではないので仕事でなんとかしてあげることはできない。だからこの呪いだけ解いてあげようと思った。私の返信。

  そうです。そういう時期なんです。

  仕事は3年、恋愛は3ヶ月、結婚は3週間で飽きます。

  これは良い悪いではなく、しかたないこと、人間の脳の仕組みです。

  だから以前ほど仕事に情熱が持てなくなっても心配しないで。

  モチベーションなんかなくても仕事はできます。

  仕事にモチベーションが持てないときは私生活や趣味をがんばる。

  そのうち、やりがいを感じられる仕事を任されるとか、一気に視界が開けるときが来るでしょう

べつにモチベーションなんかなくても、情熱ややる気がなくても、やることをちゃんとやっていればとりあえずはそれでいいじゃないか。自分にモチベーションがないことで悩む必要はない。そんなこと気にするのはやめよう。彼女の上司が見たら激怒するような内容だが、まずはモチベーションの呪いから解き放つことが必要だと思った。だがこんな返信、役に立つのか? 彼女の返事。

  ありがとうございます。

  涙が出てきそうです。

  すごく気持ちが楽になりました。

  (結婚は3週間なんですか・・・?!笑)

3週間です