夏の映画まつり「渇き。」

けっこう酷評されている映画だが、私には面白かった。最近、見た映画ではかなり上位に来るな。酷評されている原因が頻繁に出てくる暴力描写もあるだろうが、なにより主役の役所広司を初め、登場人物全員が「クズ」なのだ。もう一人の主役である主人公の娘、奥さん、妻夫木が演じる刑事、2つの敵対組織、とにかく出てくる人出てくる人、みんながみんなそれぞれのベクトルで人間のクズ。だがゴミためがたまに見る人を魅了するような毒々しい色彩を放つように、この映画のクズたちの一途さが命の輝きを放つ。この映画が嫌いな理由で「役所広司がきたない」(ずるいという意味ではなくて、そのままの意味で汚い)があったが、あの汚さ、醜さこそ、この映画の主役に求められているファクター。物語が進むにつれどんどん汚くなって、彼のバイタリティが複雑にもつれた事件を解きほぐすのではなく、謎の糸を全身でブチブチと引きちぎってラストに向かっていく。そしてボロボロになりながらも娘を救出しようとする主人公の本当の意図が明らかになったときぱあっと物語の視界が開ける。残念だったのが2時間におさめるため、ラストの方で初めて出てくる重要人物ほど背景の説明が省かれていて、せっかく魅力的な悪役なのに行動原理が理解できない点だ。大人版「アナと雪の女王」としてお勧めの映画だ*1
最後に、今年になって北川景子の映画を3本観た私だが、妻夫木の映画も3本観てしまった私。どんだけ妻夫木が好きなんだと

*1:その表現はディズニーから抗議が来る