私は好きだが

こんな記事があった*1

  東京ガスのTVCMが批判殺到で放送中止に? 「リアルすぎる」「いいとおもうけど」賛否分かれ注目拡大

その話題のCMがこちら。
     
私は好きだがな、このCM。そもそもいまの就職活動は学生が受ける企業の数が多すぎるので学生も企業もたいへん。リクルートだけが儲かっているのではないだろうか。「受験料1万円、採用者には最初の給料でお返しします」とでもしないと数が減らないのではないか。私のときは、工学部は基本が学校推薦で一人一社だったので楽だった。それを決めるために事前に担当の教官と面談があり、成績順に企業を選ぶ権利がある。よってA社を受けたくても、自分より成績の良い学生がA社を希望したときは学校推薦がもらえない。本人もつらいが、教官もつらい。私は土木工学科だったのでふつうはゼネコンを受けるのだが私だけ違っていたので

  教官「君の志望は?」

  M14「橋梁メーカーです」

  教官「(顔が輝く)あ、そう。橋梁メーカーを希望しているのは君だけだからよりどりみどりだよ。で、受けたい会社は?」

  M14「はい、K社です」

  教官「え? K社?(満面の笑み)」

  (業界最大手でないところを志望する学生がいると教官はうれしい。七ならべで「4」あたりを出せた状況)

  教官「そう、よかった。じゃあ、これが会社案内のパンフレットね。面接がんばってねー(教官、終止ごきげん)」

一部しかないパンフレットだが、ほかに志望する学生がいないと教官が確信したので私にくれた。就職の面談でパンフレットをもらったただ一人の学生が私だったわけだ。で、その後、会社訪問に行って、面接に行って合格。私が就職活動に費やした時間は合計3時間くらいだったので、このCMを見ると本当に胸が締め付けられる。ちなみに私の娘も有効求人倍率3倍以上の看護師なので就職活動に使った時間は3時間未満だった。
このCMがいいなあと思うのがお母さん。成人した子どもなんか物事がうまく行っているときは親なんか必要ない。むしろ邪魔な存在でしかない。かといって子どもが困っているときに親が助けてあげられるかというと、小学生ならともかく成人した子どもの前に立ちはだかる壁などふつうの親は崩せない。どっちにしても親なんかいらないのだ。目の前の壁にひるんでいる子どもの背中を押して上げるか、何度も壁から落ちてボロボロになってしまった子どもに回り道を指し示してあげるくらいしかできることはないのだ。「おまえが戦う相手はあれだ、全力でがんばれ。でも負けそうになったら逃げ道はあそこだ、全力で逃げろ」と。
このCMの娘、チーズケーキがなんで1個なんだよ。お母さんの分も買えよとおじさんは忠告しておく。あと面接に行くときは、もう少しおでこを出した方が顔が明るくなるし賢く見えるぞ