最近思うこと

会社でもいいし学校でもいい。なにかを調査して発表した経験はみなさんあるのではないか。たとえば「1ヶ月前に発売した新製品は、従来品に比べて売り上げが20%伸びました」だとしよう。ここに入る突っ込みには段階がある。
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(第1段階)発表した資料に対する突っ込み。グラフの縦軸は金額と書いてあるが本数ではないか? 製品の説明が新製品ではなくて従来品になっているよ。調査期間が2013年1月と書いてあるが2014年1月ではないか? などなど。この段階では新製品や調査の価値は損なわれていない。
(第2段階)行なった調査に対する突っ込み。ここでは20%に対する調査方法、計算方法の正当性への疑義。従来品は2月、新製品は12月で調べているが年末商戦による売り上げ増の影響は差し引いて考えるべきではないか? 売り上げの調査が従来品は全国、新製品は東京になっているが製品の特徴を考えると都市部が高くなるのは当たり前ではないか? この調査の場合、売り上げの伸びを計算するときの分母はそれではなくて、こうあるべきではないか? などなど。これが過ちではなくて意図的な匂いを感じると新製品の価値に疑いを持たれてくる。ただしあくまでも疑いであり、ふつうは再度の調査を求められるに留まる。
(第3段階)製品の効能に対する突っ込み。調査結果を踏まえると新製品の売り上げは従来品とまったく変わらない。むしろ膨大な開発費をかけただけ損、そのまま従来品を売り続ければ良かったのではないか? この段階だと厳しい人からはボロクソに言われる。優しい人は「ナイスファイト」と慰めてくれる。
(第4段階)新製品はそもそも無かった
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ニュースを隅々まで読んでいないのだが、例の騒動はまだ第1段階なのではないか? それをあたかも第4段階であるかのように騒ぐマスコミに腹が立ってしかたない。キューリ夫人は自分の発見の特許を取らなかった。回りが特許を取るように促しても「この発見は人類みんなのものです」と偉人伝に書いてあった。だが現代はそういう時代ではない。日本の研究者が発見、発明したことでも、それを元に中国が特許を取ったら発明者が中国に特許料を払わなければならないのだ。騎士道の時代は終わっている。時間と特許の勝負の時代なのだ。仮に今回の問題が第3段階だったとしても勇み足で良いではないか。若い才能を潰してはならない