ウェザーガールズ卒業式の感動と興奮も冷めやらぬまま、いよいよ悪夢ちゃん最終回のレポ。ちゃんとしたレポは来年になったらLeo16さんが書いてくれるからそっちを見て欲しい*1。このシリーズを見てミステリータッチのテレビドラマというのはつくづく難しいと思う。これが小説や映画だったら読者や観客は最後まで作者に付き合う。だから伊坂幸太郎のように伏線を物語のいろいろなところに仕掛けて、最終章でそれがつぎつぎと爆発してクライマックスを迎えることもできる。だが連続ドラマはそこまで視聴者をつなぎとめるのが難しい。あいては小説の読者や映画の観客ほど忍耐力のない移り気な視聴者だ。だから1話完結のサブストーリーを回しながら、シリーズ全体を流れるストーリーを視聴者に見せていくわけだが、悪夢ちゃんの場合は3週間前にいちおうの完結をしてしまった。その後に出てきた国際的な人身売買シンジケートも先週で解決してしまった。最終回はいったい何をするのだ? と思ったら出るわ出るわ、いままで語られなかったエピソードが。今回はこれをどこまで書いていいのか迷う。中には見のがした人や、DVDが出てからまとめて見る人がいるだろう。最終回に触れると第1話からいきなり興味をそがれることになってしまうのでさらっと流そう。
彩未先生が小さいころに遊んでいた博士の娘、つまり悪夢ちゃんの母親。この子はどのように成長して悪夢ちゃんを生んだのか、父親はどんな人なのか、いままでに説明なし。この子は自分の母親が死んだとき、以前に博士に見せられた彩未先生の予知夢と現実を混同して「人殺し〜!」と彩未先生に言って、幼い彩未先生はショックのあまりそれまでの記憶を失ってしまう。その原因を作った子だ。子どものすることだからしかたないのだが、結果的に残酷な結果になってしまった。ところがどっこい。博士の娘はその後、彩未先生に対してそれを補って余りある奉仕をすることになる。彩未先生も同じくらい残酷な事をこの子に言っていたことも判明するのだが。そして夢の化の正体。
さらに校長先生の役割。
ここのシリーズ構成はどうだったのだろう。もう少し「なにかある」と視聴者に臭わせておくことはできなかったのか。たしかに最終回で明らかになる意外な事実という驚きはあったが、あまりにも語られなさすぎて伏線にはなってない。「えー! そうだったの!」と「なーんだ、そうだったのか」のどちらを狙うかだ。視聴者のロイヤリティを信じるなら前者、視聴者をつなぎとめるなら後者。どちらにしても言えるのは、違和感ありありだった彩未先生が幼少時の記憶を失っているという無茶な設定。自分が博士の妻を殺したかもしれないという彩未先生の怖れのほかにも、悪夢ちゃんの母親のエピソードを最終回まで隠すためには必要だったわけだ。
さて、眠りから覚めない悪夢ちゃん。ところがクラスの子どもたちは全員が悪夢ちゃんといろいろなところで遭遇する。
最終回でやっと出てきた原作のお話。他人の夢を行き来することができれば、現実も夢も人間の脳の所産であるならば、他人の現実に入り込むことも可能。そのとき現実と夢、意識と無意識の壁はなくなり、現実は崩壊する。それが原作のテーマだが、テレビはそこまで突っ込まない。悪夢ちゃんを早く目覚めさせなくっちゃと北川景子と優香が奔走する。だがその前にシスターと決着をつけないと。真実を語ったシスター、警察に出頭することになった。だが、
礼拝堂から彩未先生が出たところで中から鍵をしめられる
シスターが燭台をつぎつぎに倒し中は火の海
なぜか彩未先生が中に入ってシスターを救出。どうやって中に入ったの?
悪夢ちゃんの予知夢でこの事態を知っていた彩未先生は鍵を持っていた
なーんだ、そうだったのか。って、
その鍵はどうやって手に入れたんだよ!
礼拝堂は燃えちゃうの?
優香と助手が消化器を持って駆けつける。遅いよ、手遅れだよ
無事に消火
よかった、よかった。って、
消せたのかよ!
いいのいいの。ここで時間を取っていてはあとのエピソードが時間に収まらないでしょ。最終回だから。彩未先生は悪夢ちゃんの夢の中に入るという予想どおりの展開。悪夢ちゃんは自分が見た予知夢のせいで周りの人が傷つくことに胸を痛めていた。だが、それは違うと彩未先生。
予知夢と彩未先生の活躍のおかげで、家族の関係を修復できた未来を二人で見に行く。結局これが総集編。うまいな。彩未先生が悪夢ちゃんに訴える。
彩未「みんなあなたの夢に影響を受けたかもしれない。
だけどそこから先は自分で歩いている。
自分の力で未来を変えていく人だっている。
その人間の未来はその人にだけしか作れないものなのよ。
だからあなたはなんにも怖れることなんかない。
悪夢ちゃんは悪夢ちゃんのままで未来を作っていけばいいのよ。
私が受け止めてあげるから。どんな夢でもちゃんと受け止めてあげるから」
そのとおりだ。そのとおりだが