最近 観た映画

天地明察(上) (角川文庫)
原作は読んだことないのだがテレビで予告編を観たら面白そうだったので行ってみた。暦を改訂する話である。なぜ暦がずれているのがわかるかが不思議だった。日食が暦に書かれており、そのとおりに日食が起こらないことで誤差がわかったと。なるほど。ヨーロッパとはスタイルが違いすぎるが、江戸時代の「和算」の水準はかなりのものだったと聞いたことがある。円周率も微積分も独自のアプローチで理解していたそうである。計算はもちろん算盤。あと初めて見たが積み木みたいな道具で計算をしていたがあれはなんだろう。かけ算をするものかな。主役の岡田(劇中の名前は忘れた)はなかなか好演。だが原作を読んでいる人はイメージが違うと不満があるかもしれない。宮崎あおい宮崎あおいだった。当日のコメント欄にも書いたが、あれは演出も本人も楽。主人公の仕事は一筋縄では行かず、何度も失敗と挫折を繰り返すところが「インドア派の冒険譚」としてスリリング。これは原作が良いのだろうな。夜になると江戸の町でも満天の星空が見える。あれはうらやましい。

ツナグ (新潮文庫)
これは原作を読んでいた*1。だいたい過去に読んだ本が原作の映画は観てがっかりするものである。だがこの映画は極めて希な、原作よりよくできた作品である。ファンの人には申し訳ないが、私はこの作者をけっこうけなしている。だが急成長したのがこの原作の前後であることもまた認めている。それでもこの題材を梶尾真治が書いたらもっといい話に仕上がっただろうとも思った。そんな原作の物足りない部分、発展途上の作者が届かなかった部分を映像と出演者が見事に補っているのがこの映画だ。原作は死んだ人を一晩だけ呼び戻すことができる主人公の5つの連作短編集だが、映画はこのエピソードがラップして進行する。つまり2番目のエピソードの中に3番目のエピソードの序章が混ざっている形になっており、これは技あり。樹木希林八千草薫、仲代達也、佐藤隆太とキャストも豪華。佐藤隆太はどうなんだろうと思ったが、テレビと違った徹底的に押さえた演技で好演。これはお勧めの映画だ。ハンカチが3枚くらいいるぞ