2月に読んだ本

帝王、死すべし

帝王、死すべし

息子の日記をこっそり読んでいる父親。どうも息子はいじめにあっているらしい。その首謀者である「帝王」...だめだ、これはあらすじを書くのが難しい。うっかり書くと嘘かネタバレになってしまう。ラストに大どんでん返しを知った後でそれまでのストーリーを振り返ると作者はギリギリのところでフェアプレイを貫いていたのがわかる、物語の構造自体がトリックの著者得意の倒叙ミステリー


真夜中の探偵 (特別書き下ろし)

真夜中の探偵 (特別書き下ろし)

有栖川有栖3連発。古本屋で安く売ってたのでまとめ買いの1冊目は、我々が住んでいる日本とは少しだけ違う日本。主人公には行方不明の母親と拘留中の父親がいる。そのどちらも探偵。しかもこの日本では探偵が禁止されている。その主人公が探偵として立つまでを描いたシリーズ(たぶん)1作目。北海道は独立国で、北海道と日本が互いに武力によって相手を併合しようとしているという設定は語られるだけで本作のストーリーとはまったく関係ないので次回作があるな。もうちょっと主人公のキャラが立っていたら良かったのに


長い廊下がある家

長い廊下がある家

タイトルは長い廊下だが、実際は離れた2軒の家を結んでいる長い地下道。その途中にある、こちら側からは開けられないドアの向こう側に死体がある。かといって、地上を通って殺人をしてこっちに戻ってくるだけの時間は誰にもないはず。この作品のメイントリックは、エラリー・クリーンの有名なあれと同じだな


妃は船を沈める (カッパ・ノベルス)

妃は船を沈める (カッパ・ノベルス)

内容が思い出せないよ。たしか有名な短編小説「猿の手」の解釈がどうしたこうしたと言ってたような気がする


キングを探せ (特別書き下ろし)

キングを探せ (特別書き下ろし)

4人が集まって交換殺人を行なう。動機がある人は殺人が行なわれた時間にアリバイを作っておけば容疑者からは外れる。ここまでの犯人側の計画、および1人目の殺人は犯人の側から、2人目以降は探偵の側から物語が語られる。このように物語の全容はすでに読者に明らかにされていて、探偵がどうやってそれにたどり着くかという小説だと思うだろう。私も思ってたよ。ところがどっこい、物語そのものにトリックがあり冒頭の計画がミスディレクションになっているという優れもの


舟を編む

舟を編む

いい話だなあ。老舗の中小出版社に勤める日本語オタクの主人公が国語辞典を作るまでの話。いつも同じ感想で恥ずかしいが、登場人物がみんな魅力的。辞書を作るという地味な話だし、ライバルもいなく、大きな事件も起こらず、危機も無い。それでも最後までグイグイ読ませ、最後は泣かせる筆力は作者ならでは。これ、北川景子でドラマ化しないかなあ。あ、主人公は男だった


巻きぞえ (光文社文庫)

巻きぞえ (光文社文庫)

ちょっとした悪意や不運によって抜き差しならなくなる日常の恐怖を描く短編集。「藪の中」のごとく一つの事件を違う人の目から見て、ある人には重大事だったり、ある人は夜になると忘れてしまうようなちょっとしたことだったり。こういう話を15分くらいのドラマで深夜にやったらいいのに。でも15分ドラマの脚本なんてめんどくさくて書けないのだろうな