ラビリンス

なぜだろう、この記事を読むと鏡の間に迷い込んだような酩酊感がある。

  原発事故、首都圏も避難対象 菅氏、最悪予測で3千万人*1


  菅直人前首相は18日までに共同通信のインタビューに応じ、

  3月11日の東京電力福島第1原発事故発生を受け、

  事故がどう進行するか予測するよう複数の機関に求め、

  最悪のケースでは東京を含む首都圏の3千万人も避難対象になる

  との結果を得ていたことを明らかにした。

  発生直後には、現場の第1原発の担当者と意思疎通できないなど

  対応が困難を極めたことを強調。

  原因究明を進める第三者機関「事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)は

  菅氏から事情を聴く方針で、事故対応をめぐる発言は、再発防止の鍵になりそうだ。

  2011/09/18 16:09 【共同通信

「ああ、よかった。首都圏も避難なんてことにならないで」「原因究明が進めばいいなあ」という感想が一瞬、出てくる。だが、それでも最後まで読むと何かがおかしい。読み進むうちに自分がメビウスの輪の乗っていて、いつもまにか裏側に来てしまったような不思議な感覚。この記事の行間の意味をくみ取るとこういうことだ。

  ・政府には原発事故について明らかにしていないこと、明らかにできないことがある

  ・委員会は原因の究明のために真実の情報が必要

  ・菅氏はなんでも話してくれるのでこれからも事情を聞きたい

この記事に名前が出てくる「菅氏」が前首相とか与党の重鎮でなければこれもいい。あるいは日本を脱出し北朝鮮に亡命して、向こうでインタビューに答えているならいい*2。だが、政府与党の発言としておかしくないか?
もし原因究明に必要なことなら、政府として事実を公表するべきである。もし政府が明らかにできない情報であるなら「菅氏」も公言してはならない。これが民間企業で、社員が先日まで自分が携わっていた事業の情報で、会社がまだ公表していないことをマスコミに話したら即刻、懲罰委員会。ふつうの会社は懲戒免職、内容によっては懲戒免職してから告訴だ。
百歩譲って、原発事故が収束し、原子炉は廃炉、避難した人にも必要な補償がされて元の場所か別の場所かはわからぬが新しい生活を開始した後なら良い。実際はいまだに福島ではサリーちゃんが汚染水を浄化し、その回りでは下手すると被爆の許容量なんかとっくに超えちゃっている人が毎日、必死で作業に明け暮れ、住民は明日の生活の見通しも立たないまま避難所で生活を続けている。まさに現在進行形のことなのだ。その状態でまるで回顧録を語るように得意になって話をする「菅氏」。やはり隣国のスパイとしか思えない

*1:http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011091801000331.html

*2:この人の言動を見ていると可能性があるように思えてしまう