番外編・台湾の床屋

きょうは番外編。この異世界通信シリーズ、日常の中にぽっかり開いた異世界への扉を描くものだが*1、きょうは逆に異世界そのものの話をしよう。こんなツイートがあった*2。「台湾の床屋のメニュー」だって。そんなもん、日本と大差はないだろうに。まあ見てくれ。

     

     冷○髪雕 (○:「湯」の下に「火」で「トウ」。暖めるの意らしい)

     電棒

     日本平

     山本頭

     理髪

まずいちばん下の理髪は日本と同じ理髪だろう。250元。1元は約3円なので750円。安っ! これなら毎週行ける。同じように美容院も安いので、台湾に滞在中は毎日美容院に行っていたという女性のブログを読んだことがある。北海道に住んでいたとき、電化製品や加工食品の値段は東京と変わらない。どこかの工場で作った物を全国に配送するからね。価格に占める人件費の割合が大きくなればなるほど東京と差が大きくなる。ホテル、引っ越し屋、風俗、そして床屋は安い*3。台湾のサラリーマンの平均年収が150万円くらいと聞いたことがあるので、日本の1/3〜1/4くらいか。すると750円という価格も妥当になってくる。台湾からの義援金がその後も増え続けて200億を超えているそうだ。年収が1/3、人口が1/4なので国を挙げての募金活動のポテンシャルは日本の1/12。つまり200億は日本なら2400億円に匹敵するわけだ。ありが台湾。ちなみに台湾には理髪師の免許はないそうだ。誰でも床屋が営業できる。長く営業している店はいいが、本日オープンの店に入るのはかなりの博打と言えよう。
メニューに戻る。上の二つはパーマだろう。いちばん上の最後の字「雕」は読みが「チョウ、きざむ」と出ていたので「彫」の旧字体かな。冷やして暖めて髪を刻む。パンチパーマか。つぎの電棒はアイパーかな。この2つの値段は理髪の4倍以上。やはり台湾でもおしゃれは金がかかるのだ。
問題は理髪と同じ値段の「日本平頭」と「山本頭」だ。日本平頭は直訳すれば「日本人的な平らな髪型」ということか。ここで言う「日本」は当然ながら戦前の日本だから角刈りのことかな。つぎの山本頭はなんだ? 山本さんってどの山本さん? これまた戦前なので山本コータローではない。山本五十六みたいな頭か。すると丸刈り。それなら床屋のメニューとして「パンチ・アイパー・角刈り・丸刈り・ふつう」のバリエーションとなる。ここに無いのはモヒカンくらいだ。
ググってみると、写真が出ているのがあった*4。人相悪っ! この人の別の記事を見たら「山本平頭」「山本頭」とあった*5。「山本」が出てきたらとにかく短髪。そして「平」はてっぺんが平らなのではなく、全体を均等に同じ長さにすることらしい。うーん、死してなお異国の床屋にその名を残す山本五十六