昭和歌謡大全集

突然だが、きょうはこれをやるのだ。

  キャンディーズ ベスト3

というと「年下の男の子」「春一番」「やさしい悪魔」または「微笑み返し」だと思うだろ。甘いな、私はそんな曲を選ばんよ。3曲を紹介するが、その中での順番は付けがたいので順不同だと思ってくれ。
【内気なあいつ】 初のヒット曲になった「年下の男の子」と同じ線を狙ったキャンディーズの6曲目。
     
20代、30代の諸君、これがキャンディーズだよ。中央がいまは水谷豊の奥さんのランちゃん。右側が筆談ホステスのお母さんのスーちゃん*1。左側はいまは...よくわからないミキちゃん。前の曲でセンターになったランちゃんが引き続きセンターで、この体制は最後まで続く。1曲だけ、「罠」ではミキちゃんがセンターになったか。歌詞も曲も「年下の男の子」のテイストでいかにも二番煎じという感じだが、私はこっちのが好きだ。当時はマリンルックで歌ってたように思う。
【アン・ドゥ・トロワ】 「哀愁のシンフォニー」にするか迷ったが、やはりこっちにしよう。15曲目のシングルで作曲は吉田拓郎、作詞は喜多条忠喜多条忠かぐや姫の「神田川」が有名だが、吉田拓郎とのコンビもけっこうあって、キャンディーズの「やさしい悪魔」、梓みちよの「メランコリー」などけっこう多い。
     
これと聞き比べてもらいたいのが吉田拓郎自身が歌ったやつ。最後が笑える。
     
キャンディーズもこっちのアレンジに近い別バージョンを歌っている。このころラジオ番組で、吉田拓郎がテレビ局だからスタジオでキャンディーズにばったり会って「あんたたち引退するんだって?」と聞いたら「事務所を通してください」と言われて面食らったと言っていた。当時のアイドルはいまほど自由でなかったのだ。
【あなたに夢中】 キャンディーズのデビュー曲。デビューのころはスーちゃんがセンターだった。それで4曲を出したがぱっとしないで、当初に想定していた年令層より少し上の世代に人気があったランちゃんをセンターに持って行ってブレイクにつながる。まずは前の2曲とこの曲を聞き比べてくれたまえ。
     
曲の好き好きはあろうが、このハーモニーを聞いて欲しい。な、いいだろ。サビの部分、スーちゃんの♪こっころを〜♪にランちゃんとミキちゃんが♪さっさげて〜♪。このハーモニーが実にきれいなのだ。そのきれいに絡み合った二人の声にスーちゃんの♪このいのち〜♪が不協和音的にかぶさる。これがキャンディーズの持ち味だったのだ。ところがランちゃんがメインボーカルになると、スーちゃんとミキちゃんのハーモニーがそれほどきれいではない。キャンディーズがアイドルの道をダッシュしはじめたのは「年下の男の子」からだが、ここからキャンディーズはコーラスユニットからアイドルユニットに変節したのだ。彼女たちの活動の後半は、ピンクレディーと張り合うことで無駄に歌手生命を短くしてしまったが、この時点でスーちゃんをセンターに戻し、見せるピンクレディーと、聞かせるキャンディーズという選択もあったのではないかと思う。なにはともあれ、ランちゃんの伴侶は相棒で再ブレイク、スーちゃんは女優として確実な足跡を残し、キャンディーズが早い段階で解散したのも、それぞれが再デビューしたのもいま振り返ると彼女たちの人生にとっては正解だったであろう。で、ミキちゃんはどうしたの?

*1:役の上の話だけどね