異形シリーズ。どうも最近のクオリティが低いんだよなあ。
いまだにわかってない、あるいはわかったと思ってたが実はわかってなかった、一度は否定をされたが何かありそうだ。
暗黒物質、
常温核融合、物理定数あたりはよくあるでしょ。ところが死(生物が死ななければならない理由が科学では説明できない)、性(
有性生殖をする理由が説明できない)、自由意志(そんなものは存在しないという理由がたくさん見つかっている)などはいままでなかった。たとえば死。生物は耐久年数が切れて死ぬわけではなくて、死へのカウントダウンをするメカがわざわざ作動するのだよね。うーん。
評価が分かれる作品だろうなあ。前半はドタバタ、後半は一転してスプラッタホラー、最後は意外な結末。興味がある人は
ブックオフの105円コーナーで探してみてください。
著者のデビュー作か2作目だったと思う。いま調べたら成海○子主演で映画化されるそうだ。物語のア
イデアとか基本プロットは良い。登場人物の造形も悪くない。残念ながらディ
ティールを書き込む力がまだ不足。そのため後半に話を盛り上げきれないように思う。この話を
恩田陸や
湊かなえが書いたら傑作になったのではないか? その意味で映画化は楽しみ。今後に期待の作者だ。ところで映像化が無理な箇所があるんだが、そこはどうするんだろう。
著者はホラー小説のいまやベテラン。やはりホラーはこうでないと。なにがって、怪異の正体が最後の方までわからないことが重要だと思う。小説にしろ映画にしろ、半分より前で正体が明らかになってしまうとそれはただの怪物小説だ。
もういい加減にして欲しい。うますぎるだろう。古本屋で買ったのだが、新刊との差額分をおひねりとして著者にあげたい。物語は
東北新幹線の車内、東京駅から
盛岡駅まで。主役だと思ってた人が仙台に着くまでにつぎつぎと殺されちゃう。ちょ、この小説は誰が主役なの? と思ったら通りすがりだと思ってたこいつか! しかも登場人物の話でちょっと触れただけの人が最後の方に出てきて物語の幕を引くし。話の展開が予測
不能。登場人物の世間話もすべて伏線。何ヶ所か出てくる狭い車内での対決シーンの描写が見事。これほど淡々と描かれたアクションシーンがあるとは。実は著者の別の作品の登場人物が出てきて、そっちを読み返してからのが楽しめたな。もう捨てちゃったから無理だったけど。
著者は応用
倫理学の第一人者。「なぜ人を殺してはいけないか」「なぜ未成年はタバコを吸ってはいけないか」。哲学の立場ではどちら結論を出すことはできないのだと思う。そもそも哲学は結論を出したらそこで思考停止なので結論はない。そこに「徳と得」、「感情と勘定」から、真理ではないまでも一定の結論を出そうとするのが応用
倫理学である。いまの日本は
個人主義ではなくただの個人化であると著者は断じる。期待して読んだが、
民主党への怒りで他の著作に比べ切れ味が鈍いのが残念。
前作の「掏摸(すり)」同様のノアール小説。全編を覆う深い哀しみと底なしの虚無感が胸に痛い。こういう話は
ケータイ小説の作家ではぜったいに書けないよね。エピローグはこれだけの長さが必要だったのか疑問だが、主人公側、悪役側、それぞれの登場人物が魅力的な名作。
日本の思想界にも大きな影響を与えたが、その著書のあまりの難解さで知られる
ドゥルーズ。その哲学を単なる解説に留まらず、「
ドゥルーズの思想は人生に活用してこそ意味がある」とテーマごとに現代の日本の政治や教育、果ては音楽、映画を例にあげて説明してくれている。なにより難解な用語や考え方(
器官なき身体、生成変化、内在平面、etc))をなんとか読者にわからせようとする著者の熱意が見事。私は3分の1くらいしか理解できなかったが、こういう本は年に1度くらい読み返すと自分の脳の肥やしになるのだと思う。もう捨てちゃったけど。
おまけ。昨年に読んだ本の中で私がお勧めの3冊をフィクション部門とノンフィクション部門で選んでみた。選んだ3冊は順不同。なお、私が2010年に読んだというだけで発行が2010年という訳ではない。
フィクション部門
・サクリファイス(7月)
・貴族探偵(8月)
・マリアビートル(12月)
次点 新参者(2月)
ノンフィクション部門
・フェルメール全点踏破の旅(月)
・日本という「価値」(11月)
・ドゥルーズを活用する(12月)
次点 反社会学講座(7月)
なんか世間のベストセラーやベスト10とは縁もゆかりもない順位だ