てにをは辞典

てにをは辞典

買ってしまったよ。少し早い自分へのクリスマスプレゼント。

  メリークリスマス! 俺    ...シーン

三省堂から9月に発売された「てにをは辞典」。この辞書は言葉の意味は出ていない。ではどうやって使うのか例をあげて説明しよう。
この日のブログ*1、これはめずらしく下書きをせずに、はてなに直接バリバリ書き込んだものだ。あとから読み返して気になった表現があった。2段落目の6行目。と言っても私がPCで見るとそうなっているだけなので、見る人によって違うか。

  技術の粋を凝らして、より小さくより軽く、偏執狂なまでにあらゆる系統を二重化して故障にそなえ、

  電気メーカー、素材メーカーの名もない技術者が不可能な課題に向けてひらすら改良を続けて行く。

ここの「技術の粋を凝らして」。こんな表現はあったっけ? 書いたときから違和感ありあり。ここで登場するのが「てにをは辞典」だ。これで「粋」を引いてみる。

  すい【粋】

  ▲が 身を食う。

  ▲を 集める。傾ける。利かせる。極める。結集する。つくす。

  ▼  科学の。技術の。

この▲と▼には、ここでは「粋」が入る。2行目なら「粋を集める」、3行目なら「科学の粋」となるわけだ。もうわかったと思うが、この辞書は、その言葉の前後にどういう言葉が付くかを古今東西の小説、新聞、雑誌から集めたものなのだ。これによると、どうも「粋を凝らして」という言い方は無いようだ。ここでは「技術の粋を結集して」とか「技術の粋をつくして」が妥当のようだ。もちろん「技術の粋」の方は辞書に出ているね。
それでは「凝らして」は何とセットで使う言葉か。今度は「凝らす」を引いてみよう。げっ、大量にあるぞ。

  こらす【凝らす】

  ▼ 息を。意匠を。思いを。雅趣を。肩を。考えを。祈願を。技巧を。苦心を。軍議を。

    構想を。心を。思案を。視線を。思念を。修辞を。趣向を。神経を。数奇を。贅を。

    盛装を。詮議を。創意工夫を。丹精を。注意を。秘術を。美装を。媚態を。瞳を。

    評議を。謀議を。密議を。密談を。装いを。技を。

    (売り方に・対策に・陳列に)工夫を。

    (じっと・一点に・暗がりに・前方に)目を。

  凝らして じっと息を〜見つめる。目を〜見る。

なんかこれだけ例をあげられると、これ以外の用途で使ったら叱られそうだ。どうも「凝らす」はいまの量とか質をもっと伸ばす、120%増しとか3倍にすること。英語でいうと「uncountable」に使うようだ。これに対して「粋」は「countable」で、すでに良質なものが存在して、それを集めることはあっても、それ以上に伸ばすような文脈では使わないようだ。元の文章でどうしても「凝らして」を使うなら「技巧を凝らして」だな。
どうだ、なかなか便利な辞書だろう。だが、

  次に使うのはいつなんだ?

これとか、岩波の「逆引き広辞苑」とか、たまに使いたいがふだんは邪魔な辞書。これこそ電子化して欲しい。出版社に人にお願いする