手塚先生に捧げるACアダプター(後編)

21世紀になって10年になろうとしているが、私が生きる21世紀は鉄腕アトムの21世紀とはぜんぜん違っていた。人間のように振る舞うロボットはいなく、空を飛ぶ自動車もなく、街には移動用のパイプも張り巡らされてなく、肉眼で見える立体テレビもなく、別の惑星にも行けない。
それでも手塚治虫の想像力が及ばなかったテクノロジーだってずいぶんあるじゃないか。ノートパソコンなんか私が会社に入って初めて使った大型汎用機とは比べものにならない。なにしろ、CPUが0.7MIPS、メモリ1MB、ハードディスク500KB、通信速度9600BPSで月々のリース代が300万円だ。この性能なら携帯電話のが上なんじゃないか? MP3音楽プレーヤーなんか私の持っているCDをぜんぶ入れても半分もいかないよ。薄型テレビにはハードディスクレコーダーが付いていて番組表から録画の予約ができる。パソコンは高速のインターネットがある。私は10万馬力のロボットよりこれらの製品のがずっといい。本当に便利になった、良い時代に生まれた。だが、ひとつだけ不満がある。

  家の中がACアダプターだらけだ

ノートパソコンもプレーヤーも携帯電話もどんどん薄く小さく軽くなっているのに、ACアダプターの存在感がありすぎだろう。しかもなんでぜんぶ黒いんだ。せめて水玉模様にしてくれよ*1。しかも私の賃貸マンションは古いからコンセントが少ない。これだけ電子機器があるとコンセントが足りないからテーブルタップのお世話にならなければならない。そこで私は考えた。ぜひどこかも電気メーカーが作ってくれないか。

  ACアダプター内蔵型のテーブルタップ

機器によって電圧だか電流だかが違うかもしれないので口ごとに調整ができる。むしろなぜこの製品がないのかが理解できないくらいだ。たぶん調整をまちがえると機器が火を噴くからリスキーすぎるのかもしれない。そこは自己責任でいいから。ここまで考えた私、さらに一歩進めるとこんなことはできないのだろうか。

  直流のコンセント

交流から直流の変換は分電盤か壁の中でやってしまう。家にある電気製品の半分くらいは直流なんだから、はじめから直流で壁から出してくれよ。どうだ、私の思索は完全に手塚先生を超えただろう。でもなんかできない理由があるんだろうね。それにしても前編はなんだったんだよ。

*1:むしろ存在感が増すだろう