2月に読んだ本

地図男 (ダ・ヴィンチブックス)

地図男 (ダ・ヴィンチブックス)

なんか天童荒太の「悼む人」とテイストが似ている。あっちは骨太の重厚なストーリーだったが、こちらはスイスイ読めて最後はそうか*1


ふーん、この人はこういう話も書けるのかと感心。いつもは意図的なのかしかたなくなのか支離滅裂になる作者だが、今回はきれいにまとまってまるで別人。逆にこの本を読んで作者が好きになった読者が別の作品を読んだときが心配。


Nのために

Nのために

傑作と凡作を交互に出す。これほど律儀にこのサイクルを守る作者って。で、これは後者ね。次作はきっとすごいのを出してくるよ。期待して待とう。


不連続変化の時代: 想定外危機への適応戦略

不連続変化の時代: 想定外危機への適応戦略

もはや力で世の中を変えることはできないというお話。私もそう思うよ。


新参者

新参者

直木賞も獲って、映画化やテレビ化もたくさんされている作者だが、ハズレも少なくないと思う。話題になった「容疑者×の検診」は私としてはこの人の代表作か?と疑問に思う。で、本作だが、これは代表作になるんじゃないの? 主人公があまりに完璧なのが鼻につくが、人形町界隈を舞台にした連作ミステリー。連作なので、全編を通して出てくるのは主人公くらいで、あとはおせんべ屋とか金物屋とか下町の商店なのだが、どの登場人物も人物造形がしっかりしていて話に入り込める。むしろこっちで直木賞を獲って欲しかったな。


私はこの作者の本はほとんど読んでいるんだよ。で、満足したのってほんの1、2冊だけなんだよ。なんだろう、開幕あたりは勝ち続けて夏からどんどん負けが込んでくるチームを応援しているような。


BOOKOFFのワゴンセールで200円で売ってたから買ったんだよね、たしか。200円分の価値はあったような気がするんだけど、どんな内容だったかまったく覚えてないのよね。2003年に出版された本だが、7年後の2010年になってもピントが外れてない!と思ったのは覚えている。

*1:本の紹介になってないけど