1月に読んだ本

午前零時―P.S.昨日の私へ (新潮文庫)

午前零時―P.S.昨日の私へ (新潮文庫)

「午前零時」をテーマにした人気作家による短編集。小説ってアイデアはもちろんだけど、人物造形をしながらオチを隠しながら伏線を張りながら話を進めていく構成力、読者に場面や心情をわからせる文章力の3つが必要なのだが、ケータイ小説とかはアイデアだけなんだよね。その点、ヘビーな長編をバンバン書くこの短編集の作家はうしろの2つがうまい。アイデアはショボくても一定の満足を与えるプロの技。


無理

無理

「邪魔」「最悪」に並ぶ著者が得意な「群像物」。ここで群像物とは無関係の複数の主人公がいて物語の前半ではそれらの主人公のエピソードが描かれる。これが中盤に入ると偶然というかある種の必然で彼らの運命が交差し全員の物語として終盤が進行していく。この本、5cmは軽くある長編で主人公もいままでで最多の5人。しかも終盤になってもこの5人が全然まじわらない。もちろん十分にこの人たちの話が面白いからいいんだけど、この話ってどうやって終わるの。登場人物が5人もいて、あとこれだけのページ数じゃあ完結しないでしょ、どうすんのよ奥田さん。読者の方が焦り出すと反則すれすれ、いや完全に反則技で終結する。あまりの見事さに呆然。なるほど、伏線はあったわけだ。○と○...


遠海事件

遠海事件

もう2010年度の変な小説大賞はこれで決まりだ。マクロでは変な話しなんだけど、ミクロでは緻密な文章力でぐいぐい読ませる。いっぺん、この作者と膝を合わせてじっくり語り合いたい。叱りたい。あんたは変だよ。でもすごいよと。


妖精島の殺人(上) (講談社ノベルス)

妖精島の殺人(上) (講談社ノベルス)

もう途中でメイントリックがわかっちゃったよ。島田荘司のあれと一緒だよね。もうちょっとおどろおどろしい味付けにするとか、なんか工夫はできなかったかな。


ダイナー

ダイナー

うう、気持ち悪い。一発で眉間を撃ち抜くゴルゴ13がいかに善人かがよくわかったよ。そんな風に人を殺しちゃダメでしょ。主人公の女性が成長していく過程がもう少ししっかりと描くことができたら星3つなのだが、なにしろ短編がメインの作者。そこはこれからの期待だ。


SOSの猿

SOSの猿

1ヶ月に奥田英朗伊坂幸太郎の新作が読めるなんて幸せだ。しかも両方とも古本。奥田英朗が直球勝負の剛速球投手としたら伊坂幸太郎は変化球。3分の2あたりまで読み進めてもこれはいったい何の話なのかさっぱりわからない。2人の主人公のエピソードが交互に語られる。しかも片方は...というサプライズが中盤。そこまでいっても依然とこの話がどう決着がつくのか、そもそも何がクライマックスになるのかさえ不明。それでもまったく飽きさせないのは恐ろしいまでの作者の文章力。登場人物の会話がいちいちクセがあっておかしい。それでいてイヤミではない。この二人の作家と同じ時代を生きている幸せを実感せよ。


殺気!

殺気!

主人公の女性は回りの人の「殺気」を感知することができる。それを使って悪い奴らをやっつけると思うだろ。そんなことはまったく起こらない。読み終わってみるとけっこう平板な話しなんだけど、最後まで読者の興味をそらさないのはこの作家の力。


パラドックス13

パラドックス13

この作者ではめずらしい、いや初めてのSFパニック物。設定がすごく無茶なんだが。結局、お兄さんが正しかったのね。


星屑工作員のりぃささん*1、ただいま就職活動の真っ最中だ。来年の4月の採用は少しは好転しているのだろうか。今年の4月は最悪だよ。一昨年、恥も外聞も無い会社は内定の取り消しをした。ふつうの会社は泣く泣く去年の4月に内定者の全員を入社させた。来年は思い切り絞るぞという決意を胸に。りぃささんは放送業界志望なのでなかなか厳しい。私が激励のコメントを書いたら返事をいただいて*2

  M14さんありがとです!!

  がんばります

  頑張って稼いで、M14さんみたいに趣味に没頭する日々を送りたいですー!

いや、違うから。私は有り余る資産を持っていて悠々自適の毎日の中でブログばかり書いてるわけじゃないから。ふつうに会社に行って、睡眠時間を削ってブログを更新しているだけだから