来てるぞ来てるぞ、あいかわらず
小林泰三のヌメヌメ感は健在だ。どれもスプラッタ小説なのだが、ある一線を越えてしまっているので妙なおかしさと哀しみが漂う。
帯の文句が「著者の最高傑作!」。それはこの著者に失礼だろう。もっといい話があったよ。早い段階で物語の構造が見えてしまうのだが、着地点が違っていた。バッドエンドにしかなりようがない物語だと思って読み進めるとハッピーエンドだったというボブ・ラングレーの「北壁の死闘」型の結末。こんなことを書いてもほとんどの人はわからないし、これを読んだことがある人は「あ、結末をバラしやがって」といずれにしても迷惑なコメント。軽い話が好きな人にはお勧めの一冊。でも、この著者の最高傑作ではないよ。
ああ、また失敗したよ。この著者はもうだめなの?
はずれのない
伊坂幸太郎だがこれは異色作。なんだろう、浜崎あ○みがいきなり演歌を歌っちゃうような。伊坂版「
巨人の星」。なんだこりゃ。
これも怪作。著者は、読者が主人公に対してどういう思いを持つと思って書いているのだろう。知的で繊細であるように描かれているのだが、私から見るとホラー映画の開始20分以内に殺される1番目の犠牲者になって欲しいタイプ。読んでいて腹が立ってしかたない。ラストがバタバタ感があり、もう少していねいに書き込まないと読者のストレスが解消されず主人公を好きになって読了できないのではないか?
異形コレクションの1冊。寝る前に少しずつ読んでいるのだが、今回はなぜか1つの話が長い。このシリーズ、もう何十冊になっているかわからんが、品質が落ちてないのはさすが。
途中で飽きちゃって、最後は流し読み
あいかわらず気持ちの悪い話を書くなあ。って、わかってて読むなよオレ。著者得意の暴力に取り込まれる人々の話なのだが、気持ちの悪さを書き込むことに注力するあまり、必然性というか説得力に欠ける。
5cmくらいあり本なんだが一気に読める。ホラーかと思って読み進めるとそうでもなく物語の構造がわかるまでが第1部。主人公が転入したクラスには超常現象が起こるのだが、現実からの離れ具合が無制限ではなくて、数点に絞られる。その現実+αの枠組みの中で、あくまでも論理的に現象を食い止める方法を捜し出すのが第2部。これはいままでSFの手法だったが、ホラーとミステリを鮮やかに融合させた著者の力量は見事。
魅力的な幕開けに対して、きれいに物語を畳んでいく。あまりにきれいすぎて畳み終わると実にちっぽけな話だったのが不満。登場人物がはじめから知っていることをぜんぶ話していれば1日で終わったことではないのか。でもそれを言ったらミステリーなんかぜんぶそうか。