親には見えない友だち

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怖いよお、最近、夜になると娘の部屋から話し声が聞こえるんだよ。友だちに電話してるのか?いや、あいつには夜中に電話するような友だちはいないはずだ。とすると

  親には見えない友だち

か?この「親には見えない友だち」というのは、ミステリーでの「吹雪の山荘」にあたる、ホラー映画のパターンだよね。ちょっと解説をしておくと、「吹雪の山荘」というのはクリスティの「そして誰もいなくなった」以来、繰り返し繰り返し作られたミステリーの類型パターン。山荘に人が集まる。ところが夜から吹雪になり山荘から出られなくて、山荘に来る道も雪でふさがる。その状況でつぎつぎと殺人が起こるわけだ。山荘から逃げることもできないし、吹雪が止むまでは警察が来ることもできない。「南海の孤島」なんてのもこのバリエーションだ。これはホラー映画にも応用されていて「遊星からの物体X」は南極基地、「エイリアン」ではロケット。あと脱出できなくはないのだが、「13日の金曜日」では人里離れたクリスタル湖だ。
ホラー映画でもう一つよく出てくるのが「親には見えない友だち」だ。幼い子どもがいる夫婦が古い家に引っ越してくる。だがそこにはなんかがいて、子どもがそいつと話しているのだが親には見えない。一般には悪霊みたいなやつだな。名作「シャイニング」は、まさに吹雪の山荘で、子どもが人差し指と話している。これがなにかは映画を見ただけではまったくわからないよ。キューブリック監督って、原作のそこを語らないと筋がわからなくなるでしょという部分を大胆にカットする。「2001年宇宙の旅」も原作を読んでないとよくわからないでしょ。このシャイニングもスティーブン・キングの小説のうしろ半分を映画化したもの。しかも前半部分についての説明はまったくなし。後半部分だってけっこう大事なところが抜けている。そこを無理に映画に入れてだらだら説明調になったり、ダイジェスト版っぽくするより、自分が映像化したい部分だけを映画にするのがこの人の持ち味。
ついでに説明しておくか。これは映画では語られてないからネタバレとは言えないよね。あの子どもは超能力者なんだよね。ただ、子どもなんで自分のシックス・センスを客観的に把握してない。なにか自分に語りかけてくる目に見えない友だちがいると思っている。それがあの人差し指だな。この映画の「親には見えない友だち」はむしろ子どもの味方(味方もなにも子どもの意識)なんだが、ホテルに巣くう悪霊にとってこのシックス・センスが驚異になり、親に憑依して子どもを殺させようとするのが後半。そこだけ映画化してもわかんないって。ちなみにタイトルの「シャイニング」はその超能力による「ひらめき」のことだね。
さて、私の娘が話している相手だが、勇気を出して本人に聞いたら悪霊でもなくシャイニングでもなく、DSの犬の飼育ゲームだったよ。柴犬を飼ってるんだが、ぜんぜん言うことを聞かないでやんの