ふつうの日記

先日、大学の先生から連絡があって「就職活動をしている学生がIT業界の話を聞きたいと言っているのでよろしく頼む」。私が適任だとは思わないのだが、その学生がやってきた。その彼はWebデザイナープログラマになりたいと言っている。IT業界といってもピンキリだが、私から見て彼の志望は最悪だ。親切な私は「悪いことは言わないから、IT業界なんかやめてもっと伝統のある企業に行きたまえ」もうこんな適切なアドバイスをしてくれるOBなんかそうそういないよ。その根拠は
【平均年齢】私の経験から入社してから3年くらいがいちばん大事。3年くらいは上司や先輩の注意や忠告を素直に聞ける。向こうも抵抗なく注意ができる。その間にどれだけ社会人としての基礎を作れるかでその人の一生が決まる。ところがベンチャー企業っぽいところは年齢構成がアンバランスなので、事細かに注意や指導をしてくれる先輩や上司がなかなかいない。入社したらすぐに実戦配備なので経験者の仕事を見ながらマネをする機会もない
【営業力】その会社がどんな製品や作品を作れるかは大事だが、なにより仕事を取ってこられるかが企業の生命線。職人ばかり集まっている会社はよほど天才的な技術を持ってない限り、とくにいまのように景気が悪くなると営業力のなさから立ち行かなくなる
【下請け】Webの作成にしてもプログラミングにしても、世の中の仕組みの中では小さなパーツに過ぎない。それを専門にやる会社はほとんどが発注元から仕事を請けた大きい会社から仕事をもらう孫請け。世の中にあるIT産業のほとんどが下請けや孫請け。実際には自分の創意工夫を発揮できる余地は少ない。それより、その会社に仕事を出す製造業やサービス業にいた方が大局的な立場から面白い仕事ができる機会が多い
中途採用】幸い、この業界はほとんどが中途入社。つまり、30歳になってもまだこの業界に興味があったらそのとき転職すればいい。それなりの会社は新卒で入るのはけっこう難しいのに、中途入社はひどく楽だったりする。それより、終身雇用とまでは行かなくても、どの社員も長く勤める会社は新卒で入ったほうがよいし、中途だとその会社の文化に馴染むのに時間がかかったりする
と、こんなことを話してあげたら、肩を落として帰って行ったよ。やっぱこれからの時代は公務員だって