華子様を隠そう(その2)

【前話までのあらすじ】日本をこよなく愛する私、M14。もっと日本を好きになりたい、日本の美しい四季をもっと身近で感じたい。そう思って、まったく季節感の無い華子様のカレンダーを衝動買いしてしまった。だが、M14は忘れていた。M14家にはこんな大きなものを隠す場所がないことを...
結婚して初めてわかったのだが、私の女房は病的にきれい好きなのだ。もうその時点でパンツなんか1週間取り替えなくてもなんともない私の結婚生活は破綻していた。おそらくよその家の奥さんが1か月に1回くらい「きょうは天気もいいし、気合いを入れて掃除しちゃおうかなあ」という掃除を毎日する。3時間かけて。風呂掃除だって浴槽だけでなく床、壁まで毎日だ。掃除が嫌いだった私の母親が年末だけにやる大掃除くらいの掃除を週に1回やる。そんな女房が月に1回行なう掃除がどんなものかわかるか?私の引き出しを全部出して、マウスからペンから、とにかくなにからなにまでぞうきんでカラ拭きして、引き出しの底に微量にたまった綿埃をぞうきんで拭く。クローゼットの上段に置いてある本やガラクタもぜんぶ出してカラ拭きだ。この話を人にすると「きれい好きな奥さんでうらやましい。家の中はいつもピカピカなんでしょ」と言われる。冗談じゃない。おかげで

  私の部屋に女房の死角なし

物を隠すのにたいへんな苦労をするのだ。先日、華子様からいただいた写真集だって*1生命保険会社のでかい封筒に入れ保険証書にカムフラージュしてしまってある。華子様Tシャツは旅行カバンの隠しポケットの中。さすがにDVDはカラ拭きしないので、セラムンのはパッケージを捨てて中身だけOfficeとかATOKのDVDに混ぜてむき出しで保管。今回のカレンダーは過去最大の難関だ。こんなでかい物をどうやってラスカルのような女房から守ればいいのだ。
まずはタンス。この中も月に2回はぜんぶ出して掃除をしている。タンスと壁の間という手もあるが、たまに引き出しをはずして動かしていたので安心できない。案外、タンスの下はどうだ?

だめだ、はみ出る。それにこんな埃っぽいところに華子様を置いておくのは胸が痛む。そうだ、礼服をケースごとタンスの中に吊るしている。この中なら丸めないで保管できるではないか。これを開けているのは見たことがない。

惜しい!チャックが閉まらない。旅行カバンなんかどうだろう。緩く2つ折りにすれば入るのではないか。

だめだ、ちょっとはみ出る。いっそカレンダーの両側を切ってスリムサイズにするか。いやいや、華子様の美しいおみ足を切りでもしたらたいへんだ。あとはどこだ、女房が絶対に掃除しないところは。そうだ、使わない暖房器具だ。以前に住んでいた一戸建てのボロい貸家では石油ファンヒータを使っていたが、いまの賃貸マンションでは使わない。この箱が開けられることは絶対にないぞ。

ほんの2cmばかり小さい。だが、同じ発想でいまは使わない季節商品なんかは狙い目だ。そうだ、娘のスキーの袋はどうだろう。あれなら長さは十分だ。

入るには入ったが女房は毎週クローゼットの掃除をするときにスキーも外に出している。そのときの感触で怪しまれるし、華子様がよれよれになりそうだ。風呂場の天井に屋根裏に抜ける蓋があったが、あんな高温多湿の場所は紙製品の大敵。う〜ん、やはりこの結婚はまちがいだったか*2
(つづく)

*1:正確には福家書店で買ったんだけど

*2:結婚よりカレンダーを買ったことだろ