安座間美優「世界制覇への道」−漢館を買ってみた(その8)

このあたりで、ちょっとお断わりを入れておく。私はけっして漢館や漢館読者をバカにしているわけではない。雑誌というのは専門性が上がれば上がるほど、専門外の人から見ると突っ込みどころが満載なのだ。日経ビジネスだって、週刊アスキーだって、漢館読者から見たらアホのような記事に見えるはずだ。

  「ねえねえ、見て見てこれ。『GeForce 8800ULTRA』だって」

  「ULTRA...ウルトラ?...プッ、いまどきウルトラ?いつの時代だっつうの」

  「8800ってなによ。どんだけ桁が多いんだって。携帯はやっと900番台よ」

  「メモリ768Mだって。768メートル?いや〜ん、あたしのノートに入んない」

  「ミリメートルのまちがいでしょ。カタログまちがえてどうすんだって」

  「12万円?じゅうにまんえん?なんで私のノートパソコンより高いのよ」

  「そもそもこれ何に使うの?だって機械がむき出しだよ。ほこりがたかるって」

  「見なよ、ここに扇風機が付いてるよ。これが回ってればほこりが付かないよ」

  「『20%以上の驚愕の冷却効率』だって。こんなちっこい扇風機で冷えるかっつうの」

  「メモリクロック:684/1,161MHzってなんだろ」

  「時計も付いてんの?そんなのいらないからもっと安くしてよ」

  「だいたいさ、ヘルツが変じゃん。東は50Hz、西は60Hzでしょ。この機械どこで使うの?」

  「だからさ、海外製だよ。海外旅行に行くとき持ってくソケットがいるんじゃない?」

  「だいたいさ、こんな用語は当然知ってるでしょって書き方がムカつくよね」

  「そうそう、男社会なのよ。おまえらは関係ないっていう態度がみえみえ」

  「で、これなんなの?」

  「グラフィックって書いてあるよ。ゲーム機じゃないの?」

  「うそ〜どこで操作すんのよ、どこを見んのよ。マリオはできるの?」

  「『フルバージョンをバンドル』って書いてあるよ。ハンドルが付いてる?」

  「レーシングゲーム専用?どっちにしてもいらないよね」

  「いらないね」

と、こんな具合だ。専門性というのは極めれば極めるほど専門外の人から見れば滑稽なのだ。さらに、どれが偉くてどれが偉くないということもない。日経ビジネスや週刊ダイアモンドを読んでいるサラリーマンも、漢館を読んでいるOLも、スカトロ専門誌を読んでいる青年も、それぞれが自分の趣味や興味や実益のために情報を収集している点において、なんら差はない。

  専門に貴賤なし

みな押し並べて何かを追求する姿勢は尊い。だって、そうとでもしないと私はただのアホじゃん*1

*1:ただのアホだろ