まず、シマンテック社の製品群についておさらいをしよう。
Norton Internet Security(以下、NISとする) ワクチンおよびファイアーウォール
Norton System Works(以下、NSWとする) システムの保守と調整
私はこの二つを使っている。前者のNISは新しいウィルスや侵入プログラムが見つかるたびに更新版がネットで配布される。このサービスが購入後1年間は無償で行なわれ、以降は有償の更新手続きをしなければならない。だが、最新版の更新に、本体のバージョンアップを含んだ新製品が毎年、秋にリリースされるので、ほとんどのユーザは更新手続きをしないで新バージョンをユーザ向け特別価格で購入する。私は去年の秋にリリースされた「Norton Internet Security2007」を使っていた。後者のNSWも「Norton System Works2007」がリリースされているが、2006から中身は変わっていないので、私はバージョンアップをしていない。
今年も秋になったら「Norton Internet Security2008」が出て、そっちにバージョンアップするはずであった。ところがシマンテックから新製品がリリースされる。これが「Norton360(以下、360とする)」である。360は360度、ユーザのPCを全方向から守るというのが売り文句の新製品。シマンテックからユーザに来るメールを読むと、こっちにして欲しそう。NISとNSWを統合した製品のようだ。NISユーザ向けの特別価格も設定されている。ちょうどNIS2007が更新の時期だったので、360を購入した。なお、360をインストールするには、いったんディスク内のNISとNSWをアンインストールしなければならない。
【Norton360 vs NIS2007】
更新が完全なバックグランドで行なわれ、ユーザはいつ更新が行なわれたのかさえわからない
定期的にディスク内のファイルがウィルスに感染してないかのチェックがバックグランドで行なわれる
ディスクの最適化(Windowsのデフラグ)やディスクのクリーンナップの機能が付いている
指定したファイルを最大2GBまでシマンテック社のサーバーに自動でバックアップしてくれる
NICのような年1回のバージョンアップはなく、すべてネットによる更新によってプログラムの改良が行なわれる(らしい)
と、ここまでは良いことずくめ。なかなかの優れものである。ところが
【Norton360 vs NIS2007+NSW2006】
360のディスク最適化は空き容量が15%ないとできない。よって10%を割っている私のPCでは最適化が行なわれない
Windowsのチェックやディスクのチェックや修復などNSWの機能が360にはない
360はすべてがバックグランドで行な
われるので突然、レスポンスが低下し、その処理を延期したり中止にできない
やはり餅は餅屋だ。NSW2006をインストールしなおそう。ここに落とし穴があった
360とNSWは併用ができない
NSWをインストールしようとすると360によってはじかれる。「360の機能を使ってください」とメッセージがでて。そんなこと言ったって必要な機能がないじゃないか。NSWのディスク最適化は、頻繁に更新するファイルや、逆に読むだけのファイルの配置を変えるとかWindowsのデフラグには無い機能を持っているので手放せない。またシステムがハングアップしたり強制的に電源を切ったときに起こるディスク内でのセクターのリンク切れを修復するディスクの保守機能も手放せない。ということは私のようにNSWを使いたい人は360をインストールしてはいけないのだ。そんな注意、どこにも書いてないじゃないか。
その内、NIS2008リリースのお知らせが来た。なんだよ、NISは2007で凍結して360に移行すると思ったのに、2008を出すんだ。私は泣く泣くNIS2008も購入し、NIS2008+NSW2006の組み合わせで使っている。
結論はこうだ。
シマンテック製品の機能
Norton Internet Security<Norton360<<<Norton Internet Security+Norton System Works
よって、NSWをこれからも使い続ける人は360を買わずにNISの更新手続きまたはバージョンアップをすること
シマンテック社の製品を愛するユーザほど騙されるこの仕組み。おまえは美人局か。少なくとも後者はユーザに対するサービス、というより礼儀、いや供給側の義務として明らかにするべきであろう。